パズルの国のアリス

賞金は仲良く平等に(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 先月号ではお大尽の支援のおかげで,合同演芸会の賞金を無事に工面できたという話をしたが,今月号では演芸会後の賞金を演技者間でどう分配したかの顛末だ。

 演芸会にはグループで参加して芸を披露した者が少なからずいた。例えば,トウィードルダムとトウィードルディーの双子は「喧嘩漫才」で2人での参加だし,ヤマネの姪たちは7人,白のポーンたちは8人そろっての登場だ。無限モグラ国から特別出演のモグラたたきサーカスとなると一体何人が登壇していたのかよくわからないくらいだ。

 お大尽の意向に沿って大勢の演技者が賞金を獲得したのは良かったのだが,グループ演技の場合はそれをさらに分配するので一悶着だ。ダムとディーの双子の場合など,平等だと感じられる分け方がないと賞金が宙に浮いてしまいかねない。演技での役割によって重みが付けられればかえって分けやすいのだが,そうもいかない場合も多い。

 しかし,そこはお大尽,それを聞いて嬉しそうに「ほほう。では平等に分けることができるように,わしがさらに銀貨を追加しようではないか」と言う。「だが,ただ人数で割り切れるように銀貨を出すというのもつまらん。そうするに当たって何か面白い趣向はないかのう?」

 アリスにちょっとしたアイデアがひらめいた。「こういうのはどうかしら?最初にグループ内で賞金を適当に分配して,全員が輪になって並ぶ。このときの分け方は平等でなくてもでたらめでいいの。例えば,誰かが全部独り占めして他の人は0枚というのでも。このときに奇数枚だった人は,お大尽さんから銀貨を1枚もらって偶数枚にし,全員が偶数枚になったら,一斉に手元の銀貨の半分を右隣りの人に渡す。これを繰り返していれば,やがては全員が同じ枚数でしかも偶数枚になるんじゃないかしら?」

 「フーム,良さそうな気もするがのう」とお大尽。「しかし,いつまでも奇数枚の人がなくならず,際限なく銀貨を足さねばならんということはないかの? いくらわしじゃって,出せる銀貨には限りがあるぞよ。それに,さらに銀貨を増やす必要はなくても,そのやり取りがいつまでも続いて終わらんということはないかの?」

 読者への問題は,このお大尽の疑問に答えていただくことである。つまり,アリスの考えた平等化プロセスがお大尽の懐を無制限に当てにすることがないことを証明するか,その反例を作っていただきたい。また,銀貨が無尽蔵に必要という事態が生じない場合でも,グループ内での銀貨のやり取りがいつまでも続いて安定化しない,つまり全員が同じ枚数になることが永遠にない場合があるかどうかを考えていただきたい。

答えは12月17日に

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