パズルの国のアリス

大工と助手の配線工事(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 最近では,不思議の国や鏡の国でも電化製品の普及は著しい。今まで電気が来ていなかったチェス王室の別荘地でも,何らかの電力インフラは不可欠ということになり,電力供給配線工事を大工に依頼した。

 大工も近頃では,本業の木工作業より,ひっきりなしに来る配線工事の依頼をこなすのに大忙しで,すっかりこの種の仕事に慣れてしまった。どうせ配線依頼は今後も頻繁に来るだろうということで,この際,電気が来ている別荘地の南端から別荘地中央まで,一度に10本の電線を引くことにした。そうすれば,依頼が来るたびに工事をするよりも費用も手間も格段に節約できる。

 手間のかかる工事作業は友達のよしみでセイウチに手伝ってもらうことが多いのだが,今回はあまり当てにならないセイウチに手伝ってもらうよりも,ちゃんと専門教育を受けたという触れ込みの助手を雇うことにした。電線の埋設作業は順調に進み,あとはテストをするだけという段階になった。

 電源装置のある別荘地の南端でテスト準備を終えた大工は,助手に「よし。お前,ちょっと別荘地中央まで行って,0番と1番の電線をつないでこい」と指示する。助手はキョトンとした顔で,「お安い御用だけんど,親方,何だってそんなことすんだ?」

 「当たり前だろ。こっちの0番と1番に微弱な電流を流し,流れるようならうまく工事が進んだってことだ」と大工が答えると,「そんなこと言ったって,向こうの1番とこっちの1番がつながってるって,どうしてわかるんだ?」と助手。

 大工はビックリして「何だって? 作業に入る前に,電線の両端に0から9 までの番号札をつけとくようにと言ったろ。いや,確かにこちら側にはついているな。作業中に見た限りでは向こう側にもついていたぞ」。

 「んだ。けど親方は番号札をつけろって言っただけで,電線の両端の番号を同じにしろって言わなかったべ。それで,おら適当に札をくっつけといたけんど……」

 結局,助手の言葉からわかったことは,各電線の両端に0番から9番の札がついているだけで,番号どうしは何の対応もとれていないということだ。それでも,例えば向こう側の0番と1番をつなぎ,こちら側の3番と6番に電流を流して通電していることが確認できれば,こちらの3番と向こうの0番または1番が同じ電線であることがわかる。こちらの6番も同様だ。しかし,向こうとこちらの番号の対応がどうなっているかを完全に把握するには,こういったことを何回繰り返せばよいだろうか? 

 こうなってみると,助手に指示を与えて1人で作業させるのは不安で,任せる気になれない。別荘地の南端と中央を行き来する回数をなるべく少なくして,各電線の番号の対応を完全に定める方法を考えてほしい。なお,電源装置は南端にしかないので,通電テストはそこでするしかなく,中央では電線のつなぎ方を変えるくらいしかできることはない。

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