パズルの国のアリス

正8面体サイコロに色を塗ろう(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 2017年1月号で,アリスがハンプティ・ダンプティや赤のポーンたちとともに鏡の国のサイコロ製造工場を見学した話をしたが,今月はその続きの話題にお付き合い願いたい。

 賭け事好きの国民が多い鏡の国では,サイコロの需要は高く,安定した売り上げが期待できるのだが,いつも同じようなデザインばかりというのも面白くない。珍しい変わり種があると,使うほうもワクワクするし,製造するほうもなんとなく楽しくなる。というわけで,文字や絵を使った変わった目のサイコロや各面に色を付けたサイコロを試作してみようということになり,工場長からハンプティに相談がきた。ハンプティは芸術家ではないから,目のデザインについてはそのセンスが参考になるはずはない。しかし,各面の色付けという点では,さまざまなパターンをすべて試して重複や考え落としがないようにしたいということで,知恵者を自任するハンプティには一応お伺いをたてておこうということらしい。

 これまでも再三述べてきたように鏡の国のサイコロは正8面体だ。色付け問題を考える際に注意したいのは,一見違って見えるサイコロでも,適当に転がして同じ色配置になる2つのサイコロは同じと考える点だ。ただし,鏡に映して同じになる場合でも,転がして同じにならなければ別のものとする。面の色付けは目の刻印前に行うので,目のことは考慮に入れる必要はない。

工場長からの相談について,読者にもハンプティと一緒に考えていただこう。最初の問題は,赤白の2色を4面ずつに塗ってできるパターンの総数だ。何通りあるだろうか? 次に2色を何面でも好きなだけ使うと(全面が赤あるいは白というのでもよい)パターンの総数はいくつになるだろうか? さらに4色を2面ずつに塗るときのパターンの総数は? 最後に8色を1面ずつに塗るときのパターンの総数は?
色数が少ないうちは全パターンをしらみつぶしに数え上げていっても何とかなるが,だんだん手に負えなくなるはずだ。もちろん,回転を考慮に入れなければ,比較的に簡単な式で書けることはすぐにわかるが,回転で同じになるパターンをそこからどう削り取っていくか?

 いきなり正8面体の色付け問題に取り組んでもよいが,まずはウォーミングアップとして通常の立方体のサイコロの場合を考えるのが意外と有効だ。というのも立方体と正8面体は互いに双対な正多面体であり(一方の正多面体の各面の中心を結ぶと,他方の正多面体が得られる),回転で同じになるという関係に着目すると両者は同じ構造を持つからだ(この事実をあえて数学的に表現すれば,「正8面体と立方体の合同変換群はともに4次対称群S4に同型である」ということになる)。立方体のほうが正8面体よりも面の数が少ないから,しらみつぶしに数え上げるのはずっと容易であり,そこから正8面体の場合のヒントが得られる可能性がある。2色を3面ずつに塗る場合,2色を何面でも好きなだけ塗る場合,3色を2面ずつに塗る場合,6色を1面ずつに塗る場合,それぞれ何通りのパターンがあるだろうか?

答えは7月17日に

解答はこちらです