パズルの国のアリス

騎士同士のナイトツアー対決(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 アリスが東ナイト駅近くの白騎士行きつけの喫茶店へ行ってみると,案の定,白騎士が来ていた。珍しいことに,コーヒーを飲みながらただくつろいでいるわけではなく,赤騎士を相手に何やらゲームをやっている様子だ。ゲームやパズルが大好きなアリスは,ワクワクしてのぞき込む。ところがゲームはというと,通常のチェス盤の上にナイトの駒が1つ載っているだけで,2 人は交互にその駒をつまみ上げては動かしている。普通と違うのは,動かしたらナイトが元いたマス目にコーヒー豆を1粒置いていくことである。何度か動かしているうちに,盤面は半分以上がコーヒー豆で埋まり,赤騎士が「参りました」と負けを認めた。

 アリスは,ここぞとばかり,どういうゲームなのかを尋ねる。

 「ふむ,たいしたルールではないがの」と白騎士。「先手が最初にチェス盤の上のどこか好きなところにナイトの駒を置く。後手はその駒を普通のナイトの動きでどこかへ動かす。あとは交互に同じように動かしていくだけじゃ。ただし,前にいたことのあるマス目を再訪することは禁じられているので,それを覚えておくために,そういうマス目にはコーヒー豆を置いていく。当然,ナイトが動ける場所はだんだん少なくなっていくので,最初に動けなくなった側が負けというわけだ」。

 こうしてアリスは騎士たちとしばらくこのゲームを楽しむことになった。そこで,読者にも遊んでいただこう。このようなゲームではもちろん先手か後手のどちらかに必勝法が存在するが,どちらに必勝法があるかを考えていただきたい。もし先手が必勝ならば,最初にナイトを置く位置はどこがよいだろうか?

 また,このゲームを別の駒でやったらどうなるだろうか? 例えば,ルーク,ビショップ,クイーン,キングではどうか? 将棋の金将,銀将,桂馬,香車ではどうなるだろうか? さらには(8×8の)チェス盤ではなく(9×9の)将棋盤で同じゲームをやったらどうなるだろうか? ちょっと驚くことかもしれないが,動きの違うこれらのゲームのほとんどすべてが,類似の戦略で一斉に片づけられるのだ

 チェスや将棋を知らないという読者もおられようが,各駒の動きについては,色々な文献で調べられるし,インターネットで検索することもできよう。

チェスのルール:wikipedia
将棋の駒の動かし方:日本将棋連盟

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