パズルの国のアリス

展示台の設計(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 白騎士の工房をアリスが訪ねてみると,針金を曲げて作ったさまざまなフレームを部屋中に広げて,白騎士はその真ん中で考え込んでいる。アリスは,「あれ,散らかってますね。どうしました? 泥棒でも……」と言いかけて,いや,そんなはずはない。白騎士の工房には,何に使うのかわからない奇妙なものがゴタゴタとあるだけで,泥棒が食指を動かすような高価なものなどあったはずがないと思い直した。

 ところが,ふと工作台の上を見ると,ピカピカ光る金色のボールが何気なく置いてある。「うわっ」と驚いたアリスをうれしそうに見て,騎士は「模造品じゃよ。いくらでも作れるぞ。だが,よくできているだろ」と言い,自分と大工が受けたよその国の博物館からの依頼について語った。

 「それで,そのデータをもとに試作したのがこれですか? 完璧ですね」と,あまりお世辞でもなく言うと,騎士は「王様も鏡の国の名誉だとお喜びだ。せっかくだからわが国の博物館にも模造品を展示するようにとおっしゃっていただいたので,その方法を考えていたところじゃ。ガラスケースの中に座布団を敷いて……とも考えたが,所詮模造品なのだから,そんな仰々しいことはやめて,針金で作ったフレームの上にポンと置いて誰でも触れるほうが良いと思ってのう。そのフレームの形を色々と考えていたのじゃ」。

 足元を見ると,単純な3角形の針金フレームが落ちていた。アリスがそれを拾い上げると,騎士は,「うーむ,そういうのを水平に張って,その上に置くだけというのも簡単で悪くないのだが,4点くらいで支えるほうが安定感があるかと思って4辺形のフレームを主に考えている」と周囲を見まわした。なるほど,4本の直線から成り閉じた輪を形成しているフレームがたくさんある。立体的なものがほとんどで,平板なものは少ない。

 「球を置いたときに4点で接するような形にするのが結構面倒でのう」と騎士。「ところで,うまく4点で接するようにできたときのことだが,奇妙なことに気がついた。フレーム自体はグニャグニャとしていて,同一平面に納まるとは限らないのだが,その場合でもどうも4つの接点はいつも1つの平面上にあるようなのだ。ということは,その平面が水平になるようにフレームを支えてやれば,球を置いたときの安定感が増すのではないかと思う」。

 さて,読者にはこの白騎士の観察が正しいかどうかを考えていただきたい。問題を要約すると,「各辺が同一の球に接する4辺形がある。このとき,その4辺形自体は一平面に納まるものでなくとも,4つの接点は同一平面上にある」と言えるかどうかだ。

解答はこちらです