パズルの国のアリス

ヤマネ,また姪たちの信頼を失う(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 久しぶりに開催された鏡の国と不思議の国の合同演芸会の後である。

 「なんてこと。まったく,おじちゃんたら全然当てにならないんだから」とサンデイがヤマネにかみついている。「そうよ。あんなに練習したのに,無駄になったじゃない」とマンデイもえらい剣幕だ。「まあまあ」とグリフォンが間に入る。「結果は,うまくいって好評だったからいいじゃないか。それに君たちが練習した分の成果は出ていたから,練習だって無駄ではなかっただろ」。

 先々月号先月号と続き,賢者チーム戦から波及したモグラ大学の卒業試験の話にお付き合いいただいたが,この影響は他にもあり,問題をいろいろひねっていたグリフォンが新しい奇術の種を思いついたのが事の始まりだ。そこで,その種をヤマネとその姪たちに教えて,合同演芸会で披露したというわけである。

 ところが本番では,客席からある簡単な情報を姪たちに送るはずだったヤマネが,その合図をすっかり忘れてしまい,デタラメを送ったために予期しない結果になった。ところが,なぜか,何も知らない観客からは,奇術は完全にうまくいっているかに見え,大喝采を浴びたのだ。

 奇術でどういうことが起こったか説明しよう。サンデイからサタデイまで曜日にちなんだ名を持つヤマネの7 匹の姪たちがステージに上がって演ずるのだが,まず,それぞれに,数値が大きく書かれた帽子を本人には見えないようにかぶせる。帽子の数値は整数とは限らず,たとえば1/3,√3,−1.5など実数ならば何でもよい。ただし同じ値が書いてある帽子はないとする。姪たちは,みな両手に青と赤の旗を持ち,準備OKとなったら,司会者の合図とともに一斉にどちらかの旗を挙げるのだ。その後,司会者が数値の順に7匹を並べてみると……あーら,不思議,旗の色が交互に並ぶというわけである。どの子も,姉妹たちの数値が何であるかを見てとることはできるが,自分の数値は見えないので,並べたとき自分が何番目になるかはわからない。

 姪たちは,この奇術を何回かやってうまく成功させたのだが,実は,ヤマネが正しく合図を送ると,いつも旗の順が「青–赤–青–赤–青–赤–青」になったはずなのだ。ときどき反対に「赤–青–赤–青–赤–青–赤」になるという予期せぬ結果が混じっていたのが,姪たちには気に入らないけれども,そんなことを知らない観客には大いにウケたというわけだ。

 読者に考えていただきたいのは,この奇術の種とヤマネが送ることになっていた合図に含まれる情報だ。ヤマネからある情報が得られるとして,その情報を用いて,姪たちはどういうやり方で自分が挙げる旗の色を決めていたのだろうか? その方法によれば,必ず旗は順に「青–赤–青–赤–青–赤–青」となるように並ぶ。ヤマネからの情報が誤っていれば「赤–青–赤–青–赤–青–赤」と並ぶ。

解答はこちらです