パズルの国のアリス

続・モグラ大学の卒業試験(解答)

 総代が1人指名されるということから,誤った推測をしてよいのは,この総代に選ばれた1人だけだろうということは,容易に想像がつく。その代わり,この総代の答えの中には,他の全員が自分の成績を正しく推測するに十分な情報が含まれていなければならない。このように考えると,学生が有限匹の場合の戦略は,それほど苦労せずに思いつくのではなかろうか。

 まず,総代に選ばれた学生は,他の学生全員の成績の和を計算し,それを5で割った余りを自分の成績の推測値として答える(5で割り切れる場合は5と推測する)。この推測が当たるということはあまり期待できない。だが,この答えには他の学生全員が正しく答えるための情報が含まれているのだ。つまり,総代を除く全員の成績の和を5で割ったときの余りである。各学生は(総代を含め)自分以外の学生の成績が完全にわかる。ということは,この総代の答えと矛盾しないためには,自分の成績はどういうものでなければならないかがわかるので,正しく推測することができる。

 次は,この戦略を無限匹の場合に拡張することだ。先月号の解答欄で選択公理を用いた戦略を述べたが,それが理解できていればさほど難しくはない。同様に無限匹の成績一覧全体を,有限箇所しか違わない同士を同一グループにすることで分類し,各グループから代表を1つずつ選び出しておく(選択公理)。どの学生にも現実の成績一覧がどのグループに属するかはわかるので,その代表をRとする。現実の成績一覧をAとすると,ARは有限箇所でしか違わない。そこで総代aは自分の成績を除く違いの総和S=Σx≠aAx)−Rx))を計算することができる。そこでSを5で割ったときの余りを自分の成績の推測値として答える。また,総代以外の各学生bは自分と総代の成績を除く違いの総和Sb=Σxa, bAx)−Rx))を計算することができる。こうしてbは,総代の答えを聞いた後であれば,自分の成績Ab)がどういうものならその答えと矛盾しないかを考えて,正しく成績を推測することができる。

 簡単な例を挙げよう。成績一覧の代表の1つRが,総代を除いて番号順に成績を並べたとき,

 1,2,3,4,5,1,2,3,4,5,…

と1から5まで繰り返し並ぶもので,現実の成績一覧Aは,これと先頭の2人だけが異なる

 5,4,3,4,5,1,2,3,4,5,…

というものだったとしよう。総代は違いの総和S=(5−1)+(4−2)=6を5で割った余りを計算し,自分の成績の推測値を1とする。これを聞いた1番の学生は,自分から見える食い違いがS1=4−2=2だから,自分の成績がR(1)から1−2=−1違っていることを知り,R(1)−1=0≡5(mod 5)を推測値とする。同様に2番の学生は,S2=5−1=4だから,自分の成績がR(2)から1−4=−3違っていることを知り,R(2)−3=−1≡4(mod 5)を推測値とする。他の学生bSbSなので,自分の成績がRb)そのものであることがわかり,それを推測値とする。このように総代の答えが当たるかどうかは運任せだが,他の学生は全員正しく成績を推測する。

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