パズルの国のアリス

鏡の国のサイコロ製造工場(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 アリスは,ハンプティ・ダンプティに連れられて,賭け事好きの赤のポーンたちとともに,鏡の国のサイコロ製造現場へ工場見学に来ていた。アリスの母国イギリスに比べて鏡の国の工業技術水準がいかに高いかを,ハンプティがしばしば自慢しているので,さも洗練された素晴らしい工程が見られるだろうと期待して来たらがっかりである。

これまでにも述べてきたことだが,鏡の国のサイコロは普通正8面体をしており,各面に1から8までの数値が振ってある。工場で自動化されているのは,象牙,木,プラスチックなどでできた正8面体のサイコロが成形されて出てくるところまでで,その後にサイコロの目を刻印するのは手作業だ。8台の刻印機を使った流れ作業で,まだ目を振られていない面に1から8までの目を次々に刻印していくのだが,どの目をどの面に振るかという点については特に何のルールもないらしい。
「けっこう,デタラメなんですね」とアリスが感想を述べると,ハンプティは「そのほうがサイコロのバラエティが豊富で楽しいじゃろ。たぶんイカサマ防止にもよい」。ポーンたちはその言葉に大きくうなずいているが,アリスはそんなものかなと思っただけで特に意見はない。

 というわけで,アリスにとっては,さほど珍しいこともなく平凡な工場見学に終わってしまったが,読者の皆さんには次の問題を考えていただこう。

 もしこの工場で作られるサイコロの目が完全にランダムに振られているとしたら,1から8までの目が次々に隣り合った面に振られていき,最後に振られた8の面も1と隣り合うというようなことが起こる確率はどのくらいだろうか? ここで,2つの面が隣り合うとは,それらが辺を共有して接しているということであり,1点だけで接しているときはそう言わない。また,逆にサイコロの連続する目が隣り合った面には振られていないようになっている確率はどのくらいだろうか? この場合も8と1は連続すると考えて,隣の面になってはならないものとする。ご存知のように,普通の立方体サイコロは,対面に振られている目の和が通常7となるように設計されているので,3と4が隣り合うことはない。しかし,もし目がランダムに振られていたとしたら,1から6までの目が次々に隣り合った面に振られ,6の面も1と隣り合うということがどのくらいの確率で起こるだろうか?

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