パズルの国のアリス

鏡の国のサイコロ製造工場(解答)

 いずれも似たような問題ではある。このようにある種の対称性が存在する場合の確率や数え上げ問題は,群とそれが作用する集合に関する一般的な定理が適用できる場合が多い。しかし,それでも,一律にパッパと解けるというようなものではないし,今回はサイズが比較的小さい問題ばかりなので,個別に考えていこう。もし読者のほうで,同様な問題を一律に扱う方法を思いつかれたなら,是非ご連絡いただきたい。

 まず,正8面体サイコロの場合だが,これは正8面体のままで考えていくより,その双対図形の立方体を思い浮かべるほうが,考えやすいように思う。つまり,1から8の目は,正8面体の面ではなく,立方体の頂点に振られていると考えるわけだ。立方体の頂点は000から111までの2進数に対応させて,隣り合う頂点同士は1ビットだけ異なるようにできる。それを座標と呼び,まず頂点を2種に分類しよう。つまり,000,110,101,011という偶数個の1を持つ座標に対応する頂点を偶頂点と呼ぶ。逆に100,010,001,111という奇数個の1を持つ座標に対応する頂点を奇頂点と呼ぶ。すると,隣り合うのは互いに別のグループに属する頂点ということになる。

 最初の問題は,隣接頂点をたどる経路で1から8までを順にたどってまた1に戻ることができる確率を求めることだが,この経路は偶頂点と奇頂点を交互にめぐるものだ。まず,サイコロの目がそうなっている確率を求めよう。8頂点に1から8の目を振るには8!通りのやり方がある。そのうちで奇数の目を奇頂点に振り,偶数の目を偶頂点に振るには4!×4!通りのやり方がある。逆に奇数の目を偶頂点に振り,偶数の目を奇頂点に振るのも同数のやり方がある。したがってサイコロの目の順にめぐると奇頂点と偶頂点が交互に現れるようになっている確率は(2×4!×4!)/8!=1/35である。これが最初の問題への答えというわけではない。iの目を振られた頂点の座標をaiとし,その全ビットを反転させた座標を201701puzzleaiとする。議論は対称的なので,a1a3a5a7が奇頂点だとしても一般性は失わない。すると201701puzzlea3201701puzzlea5201701puzzlea7は偶頂点だが,a1201701puzzleaiは隣り合っていないので,サイコロの目が最初の問題の条件を満たすようになっていると,a1の前後に201701puzzleaiは来ることができない。このことを考えながら,サイコロの頂点を目の順に並べると,可能性は

に絞られる。逆にa1201701puzzleai以外の奇頂点と偶頂点は隣り合っているので,これらの並べ方は条件を満足することがわかる。結局,奇頂点を自由に並べると偶頂点の並べ方は4!=24通りのうち2通り以外は不適格になるので,問題の確率は1/35×2/24=1/420ということになる。

 さて,逆に連続する目が隣り合わないようになっている確率だが,これもa1を奇頂点だと仮定してよいだろう。他の奇頂点を目の順にakalam(1<klm≦8)とする。対称性から,これらの座標が具体的にどうなっているかは問題でなく,これらの間に偶頂点をどのように挿入できるかが問題だということは納得していただけよう。akの前後に挿入できる偶頂点は201701puzzleakのみだ。そのことを考慮すると,条件を満足するサイコロの頂点を目の順に並べると次の4タイプに分けられる。

(1)a1で始まる。この場合,akの前に201701puzzleakが来なければならず,akの後ろに偶頂点は来ない。また,最後も偶頂点ではありえない。すなわち,a1201701puzzleakakalamという形だ。201701puzzleal201701puzzleamは2カ所の…のどこかに来なければならないが,ありうるのは

の3通りだ。

(2)a1ak201701puzzleakで始まる。この場合,alの前に201701puzzlealが来なければならず,alの後ろに偶頂点は来ない。すなわちa1ak201701puzzleak201701puzzlealalam…という形だ。201701puzzleal201701puzzleamは2カ所の…のどこかに来なければならないが,ありうるのは

の3通りだ。

(3)a1akal201701puzzlealで始まる。この場合,amの前に201701puzzleamが来なければならず,amの後ろに偶頂点は来ない。すなわちa1akal201701puzzleal201701puzzleamamという形だ。201701puzzleakは…の位置に来なければならないが,ありうるのは

の2通りだ。

(4)a1akalam201701puzzleamで始まる。この場合,最後に201701puzzlea1が来なければならない。すなわちa1akalam201701puzzleam201701puzzlea1という形だ。201701puzzleak201701puzzlealは…の位置に来なければならないが,ありうるのは

の2通りだ。

 こうして全部で10通りのパターンがあることがわかった。これに,奇頂点の割り当て方が4!=24通りあり,奇頂点を偶頂点とを入れ替えられることを考えると,全部では10×24×2=480通りになる。したがって問題の確率は480/8!=1/84となる。
最後の立方体のサイコロの場合だが,立方体の場合,対面同士以外は隣り合っているから,対面同士を組みにして2つずつ3つの対に分けるのがうまいようだ。対面同士が連続する目を持つと,隣り合う面を伝って目の順に周遊することは不可能だが,それ以外なら問題ない。6つの目を3つの対に分割する方法の数は6!/(3!×23)=15通りあることは,簡単な考察でわかる。また,それらのうち連続する目が同じ対に含まれないのが

(1,3),(2,5),(4,6)
(1,4),(2,5),(3,6)
(1,4),(2,6),(3,5)
(1,5),(2,4),(3,6)

の4つだけであることは,数え上げで確認できるから,求める確率は4/15である。

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