パズルの国のアリス

鏡の国も異常気象(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 今年の鏡の国の晩夏は,ひどく暑い日があったかと思えば,翌日は極端に涼しくなったりして,まったく予報ができそうもない異常気象だ。チェス王室の庭に自生している口をきく花たちも,いつ咲いてよいかで戸惑っているようだ。

 今朝咲いたばかりのオニユリが言う。「やっと涼しくなってきたなと思って咲いたのに,何であんたがまだ咲いているのよ,ヒマワリさん?」

 「え,そんなの当然でしょ」とヒマワリ。「この5日間の最高気温の平均値をとると25度を超えているもの。あんたなんか,まだお呼びじゃないわよ」。

「うそでしょ。あたしたちオニユリは,連続する7日間の最高気温の平均値が25度を下回ったら咲くことにしているのよ。今年は気候が不順のようだから,すぐに咲くのはやめていたんだけど,7日間の平均値が25度未満というのが昨日でもう4回も続いているのよ」。

 「そんなはずはないわ」とヒマワリ。「だって,このところ5日間の最高気温の平均値はずっと25度を超えているもの。あたしたちはそれが25度以下にならない限り咲き続けることにしてるのよ」。

 これでは水掛け論である。仕方がないので,アリスに頼んで鏡の国の気象庁に連絡して調べてもらったところ,驚いたことにこの両者の言い分はどちらも正しいことがわかった。つまり,最近10日間の最高気温の記録を見ると,確かに連続する7日間の平均が25度未満というのが4回続いていた。その一方,連続する5日間で見ると平均はずっと25度を超えていたという。

 そこで読者への最初の問題である。こういう状況が生じるとしたら,いったい10日間の最高気温記録はどういうものであったろうか? さらに条件を付けると,気温はすべて整数値で記録されており,25度を超えた夏日の最高気温はいずれも同じa度であった。逆に夏日にならなかった日の最高気温も一定でb度だったという。aとbの差をなるべく小さくして,このような例を作ってほしい。

 次の問題は,このような状況がさらにもう1日続くことはありえないことを証明することである。つまり,11日間の最高気温記録で,連続する7日間の平均が25度未満というのが5回続いていて,連続する5日間で見ると平均はずっと25度を超えているような記録は存在しえないということを証明していただきたい。

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