パズルの国のアリス

鏡の国も異常気象(解答)

 最初の問題だが,例えば記録された10日間の最高気温を順に30,18,30,18,30,30,18,30,18,30度とすると,連続する7日間の平均はいずれも174/7(<25)度となり,連続する5日間の平均はいずれも126/5(>25)度となるので,ヒマワリとオニユリの言い分は両立する。

 これをどうやって求めたかを説明しよう。10日間の最高気温記録をt1t2,…,t10としよう。Si,j)を第i日から第j日までの最高気温の合計,すなわちti+…+tjとすると,条件より,S(1,7),S(2,8),S(3,9),S(4,10)<7×25=175であり,S(1,5),S(2,6),…,S(6,10)>5×25=125だ。記録されている記録tiabの2種類しかないので,S(1,7)=S(2,8)からt1t8としてよさそうだ。一般にはtiti7i=1,2,3)が成り立つ。同様にS(1,5)=S(2,6)からt1t6,一般にはtiti+5(i=1,2,3,4,5)が成り立つとしよう。この関係を何度も使うと,t1t3t5t6t8t10が導かれる。また,t2t4t7t9でもある。実際,10日間の記録をa,b,a,b,a,a,b,a,b,aとすると,S(1,7)=S(2,8)=S(3,9)=S(4,10)=4a+3b,S(1,5)=S(2,6)=…=S(6,10)=3a+2bとなり,つじつまが合う。4a+3bは整数であり175より小さい。また3a+2bも整数であり125より大きい。そこでabを最小にするために,4a+3b=174,3a+2b=126とおいて解くとa=30,b=18が得られる。

 次の問題は,11日間の記録ではヒマワリの主張とオニユリの主張が両立することがないということの証明だが,そのためにまず,nを偶数とするとき,n日間の記録で,連続2日の平均値がどれも25度未満であり,初日を除いたn−1日の平均値と,最終日を除いたn−1日の平均値とがともに25度を超えるようなものが存在しえないことを示そう。そのような記録があったとし,それをt1t2,…,tnとする。このときt1>25である。なぜなら,t1,…,tn−1の平均は条件より25度を超えるが,t2,…,tn−1は(連続する2日に分割できるので)平均が25未満である。従ってt1>25でなければならない。またt2>25でもある。なぜなら,t2,…,tnの平均も条件より25度を超えるが,t3,…,tnは同様に平均が25未満だからだ。ところがt1>25,t2>25はt1t2の平均が25未満ということに反する。

 さて,次に11日間の記録でヒマワリの主張とオニユリの主張を両立させるものがあったとしよう。それをt1t2,…,t11とし,先と同様Sij)=ti+…+tjとする。すると,S(1,5),S(2,6),…,S(7,11)>125であり(ヒマワリの主張),S(1,7),S(2,8),…,S(5,11)<175である(オニユリの主張)。従ってS(6,7)=S(1,7)−S(1,5)<175−125=50である。同様にS(7,8),S(8,9),S(9,10),S(10,11)<50だ。またS(8,10)=S(1,5)+S(6,10)−S(1,7)>125+125−175=75である。同様にS(9,11)>75だ。ここで記録t8t9t10t11を考えると,いま示したことは,この4日間では連続する2日の平均がどれも25度未満であり,t8t9t10t9t10t11の平均が25度を超えているということだが,それがありえないということは,n=4の場合に上で述べた通りである。

 実は,この問題と答えはさらに一般化でき,mnが互いに素な整数の場合,mn−2日間の記録で,連続するm日の平均をとるといつもc度未満だが,連続するn日の平均がいつもc度を超えるようなものが存在する。実際にそのような例を作ることも,先と同様にtitimi=1,…,n−2),titini=1,…,m−2)とおけば,さほど難しくない。少し面倒だが,m7n16の場合にやってみると,t1t3t5t7t8t10=t12t14t15t17t19t21at2t4t6t9t11t13t16t18t20bとなる。この場合,連続する7日間の合計はいつも4a+3b,連続する16日間の合計はいつも9a+7bだから,例えば4a+3b=7c−1,9a+7b=16c+1とおいて解くと,ac−10,bc+13が得られる。

  しかし,mn−2はこのような記録が存在できる最長の日数で,mn−1日間の記録ではこのようなものは存在しないことが証明できる。そのような記録が存在するとして,まずnmとしても一般性を失わないことは了解していただけるだろう。また,条件より,S(1,m),S(2,m+1),…,Snmn−1)<mcであり,S(1,n),S(2,n+1),…,Snmn−1)>ncだ。さてmnは互いに素だからn=qmr(0<rm)と書くことができる。

 するとSqm+1,n)=S(1,n)−S(1,m)−Sm+1,2m)−…−S((q−1)m+1,qm)>ncqmcrcである。同様に,Sqm+2,n+1),…,Sqmmnm−1)>rcだ。

 また,Sn+1,qmm)=S(1,m)+Sm+1,2m)+…+Sqm+1,(q+1)m)−S(1,n)<(q+1)mcnc=(mrcである。同様に,Sn+2,qmm+1),…,Snrnm−1)>(mrcだ。これが何を意味するかというと,tn+1tn+2,…,tmn−1というm−1日間の記録に限って考えると,連続するr日の平均はcを超え,連続するmr日の平均はc未満だということになる。nqmrmは互いに素だったから,mrrも互いに素である。こうしてmnを新たにmrrに置き直して考えると,(先の証明でm=5,n=7の場合がmr=3,r=2の場合に帰着されたように)問題はより小さいmnの場合に帰着されることがわかる。よって後は数学的帰納法によって証明を完成すればよい。

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