パズルの国のアリス

定期的エサやりシステム(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 トウィードルダムとトウィードルディーの双子兄弟が,白騎士の新しく発明した装置の実験を手伝っていた。新装置といっても何のことはない。ただのLED点滅器である。

 LED点滅器には発明の依頼主が飼っているハムスターのエサやり器が繋がっていて,ピカッと明滅すると同時にエサのペレットが1粒ポロリと出てくる仕掛けになっている。明滅は完全に周期的で,ハムスターは1時間ごとにエサのペレット1粒にありつくという寸法だ。次のペレットが出てくるまでに1時間空いているのは食べすぎないようにという配慮からだろう。

 ただ不思議の国や鏡の国では,ペットといえども自己主張が激しく,通常の主食用ペレットだけだと,「飽きた」と言ってハムスターからクレームが来ないとも限らないから,ときにはおやつといった役どころで,ヒマワリの種も与えたいというのが飼い主の意向だ。そこで,急遽,エサやり器を増設し,そちらからはヒマワリの種が出てくるようにした。そのかわり,ハムスターが太りすぎないように,ヒマワリの種を与えた分だけ,ペレットを減らそうということで,両エサやり器の明滅間隔を調整したので,それがうまくいっているかどうかの確認実験である。

 双子がそれぞれの装置のスイッチを同時に押すと,最初ピカッと明滅して,両装置からペレットとヒマワリの種がそれぞれ出てきて,動作を開始した。最初の1時間がたっても何も出てこなかったので,ハムスターからブーイングが来るのではと双子が構えていると,やがて片方の装置が明滅し,ポロリとペレットが出てきた。その後は順調で,始動後t時間(tは正の整数)から t+1時間の間には,必ずどちらか一方が明滅し,ペレットかヒマワリの種が出てきて,逆にその1時間の間に両装置がともに作動することはなかった。

 さて,読者への問題である。上の装置によると,ヒマワリの種も, ペレットも,それぞれ完全に等間隔で出てくるという。もし,ヒマワリの種が出てくるのがα時間おきだったとしたら,ペレットが出てくる間隔はどのくらいであろうか? もちろんαが1より大きい数値であることは明らかだろう。

 実は,上の実験で双子が観察したことは,珍しい偶然ではない。すなわち,αが1より大きい無理数とすれば,ペレットの点滅器の間隔をうまく設定することで,始動後のある整数時間から次の整数時間までの間に,ペレットかヒマワリの種のどちらかが必ず1つ出てきて,両方が出てくることがないようにできる。そのことを証明していただくのが次の問題だ。

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