パズルの国のアリス

コイン配置で勝負(解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 まず,最初の2つの問題は,すぐにわかるだろう。先手が最初に長方形を描いてしまうと,勝てないということは,後手側の戦略を考えるとよい。後手は1手目に長方形の中央にコインを置き,あとは先手がコインを置いたのと点対称な位置にコインを置いてくる。 この戦略は,長方形でなくとも,一般に点対称な単連結図形に対して有効であり,この戦略をとられると,先に手詰まりになるのは先手である。

 次の問題も上の戦略を逆手にとると,簡単にわかる。例えば先手は大きな長方形を描き,その中央から半径2cmの円を除いて置けばいい。あとは,後手がコインを置いたのと点対称な位置にコインを置いていくようにすれば,後手が先に手詰まりになる。この図形は中央が除かれているので単連結でないが,単連結の図形で先手に勝利をもたらすものがあるかどうかは詳しく調べないとわからないようだ。そのような図形で簡単なものがあればお教えいただきたい。

 さて,最後の問題は,ゲームの勝敗とは無関係なものだが,ちょっと気が付きにくいアイデアを使うので一緒に出題してみた。まず,勝負がついているということがどういうことか考えてみよう。100個の円が描いてあるが,101個目の円を描こうとすると,すでにある100個の円のどれかと必ず重なってしまう。今,描こうとしている円の中心をO,すでに描かれている100個の円の中心をO1,O2,…,O100とすると,これはOとOi のどれかとの距離は2cm以下ということに他ならない。つまり,Oi を中心に半径2cmの円を描けばOはその円の中に入るということだ。Oが三角形内のどの点であってもそうなるということは,三角形全体が半径2cmの円100個で完全に覆われているということになる。ところで,どんな三角形も,下図のように,同じものを4つ合わせれば2倍のサイズの相似な三角形になる。

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 従って,構成する各三角形を半径2cmの円100個で覆っていけば,この拡大された三角形は半径2cmの円400個で覆われることになり,さらに全体を1/2に縮小すれば,元の三角形を半径1cmの円400個で覆った図が得られる。

 上記は,図形が三角形の場合の証明になっているが,一般の三角形や平行四辺形はもちろん,平面図形には,4つ合わせると元のちょうど2倍の相似図形が作れるものが,他にもたくさん知られている(下図)。それらの図形についても証明は有効だ。このように複数集めて元と相似な図形が作れるものをレプタイル(Rep-tile)というが,複製数4のレプタイルは特に多い。

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参考にした本
Mathematical Puzzles:A Connoisseur's Collection(2004),
Mathematical Mind-Benders(2007) P. Winkler。
邦訳は『とっておきの数学パズル』(2011年),『続・とっておきの数学パズル』(2012年),ピーター・ウィンクラー著,坂井公・ 岩沢宏和・小副川健訳,日本評論社。

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