パズルの国のアリス

無礼講での握手回数(解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 最初の問題で,各人が握手した人数は,0人から(自分を除くので)51人までのどれかである。従って,スペードのエースを入れて全部で52人が握手した人数が全員まちまちだとすると,握手人数が0から51までの人が1人ずついることになるが,それは不可能である。なぜなら,51人と握手した人は自分を除く全員と握手したわけであり,それには握手人数が0人の人が含まれ,これは矛盾である。

 次にスペードのエースを除く51人の握手人数がすべて異なる場合だ。先と同じ理由により,握手人数が0と51の人が共存することはできない。従って,51人のそれぞれの握手人数は0から50までか,1から51までかのいずれかである。前者であったとして,誰とも握手しなかった人を仮にハートの王としてみよう。すると50人と握手した人(仮にクラブのエースとする)はハートの王以外の(スペードのエースを含めた)全員と握手したわけだ。次に,握手人数が1人の人(ハートの女王としよう)はクラブのエースとは握手しているので,他の誰とも握手しなかったことになる。さらに,握手人数が49人の人は,ハートの女王と王を除く全員と握手したことになる。こうして続けていくことで,握手人数が0,1,…,25の人はスペードのエースと握手したはずがなく,握手人数が50,49,…,26の人はスペードのエースと握手したはずであることがわかる。従って,この場合スペードのエースの握手人数は25人である。

 スペードのエースを除いた51人の握手人数が1から51の場合も同様に進められる。この場合,51人と握手した人(クラブのエースとする)はスペードのエースを含めた全員と握手したわけであり,1人だけと握手したした人は,クラブのエース以外の誰とも握手しなかったわけだ。以下,やはり同様に,握手人数が51,50,…,26の人はスペードのエースと握手し,人数が1,2,…,25の人はスペードのエースと握手したはずがないので,スペードのエースが握手した人数は26人である。結局,スペードのエースが握手した人数は,25か26であるが,どちらであるかを定めるすべはない。

 一方,スペードだけに限定した場合,握手人数が0と12という2人は共存できず,エース以外の12人の握手人数がすべて異なるから,人数は0から11までか,1から12までにわたる。前者の場合,先と同様に,握手人数が0,1,2,3,4,5の人はエースと握手したはずがなく,握手人数が11,10,9,8,7,6の人はエースと握手したはずだから,エースの握手人数は6人となる。後者の場合,握手人数が12,11,10,9,8,7の人はエースと握手したはずで,1,2,3,4,5,6の人はエースと握手したはずがないから,この場合も6人だ。だから,どちらにしてもエースの握手人数は6人と確定する。

 一般には,エースを含めた調査対象の人数が2n+1の場合,エース以外の握手人数がすべて異なるなら,エースの握手人数はnと確定する。調査対象の人数が2nの場合,同じ状況下でのエースの握手人数はn−1かnだが,そのどちらであるかはわからないといえる。

参考にした本
Mathematical Puzzles:A Connoisseur's Collection(2004),
Mathematical Mind-Benders(2007) P. Winkler。
邦訳は『とっておきの数学パズル』(2011年),『続・とっておきの数学パズル』(2012年),ピーター・ウィンクラー著,坂井公・ 岩沢宏和・小副川健訳,日本評論社。

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