パズルの国のアリス

不思議の国のビリヤード(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 公爵夫人のところにハートの女王からビリヤードの試合への招待状が来た。アリスは比較的に女王受けが良いようなので,公爵夫人に頼まれて同行することになった。行ってみると,王宮には専用のビリヤード室があって,さすがに立派なものであるが,例によって,ボールはハリネズミだしキューはフラミンゴだ。1から15の番号をつけたハリネズミが,台の中央に固まっている。

 「そちはビリヤードができるのか?」という女王の問いに,「あたしの国でもやっているのを見たことがあります」と答えると,「フム,ひとつ突いてみよ」という仰せだ。こうなると遠慮はかえってまずいので,アリスは「はい,では御意のままに」と答え,フラミンゴを小脇に不器用に抱え,目の前にあった番号のない手球ハリネズミに向けて「エイッ」とばかりに突き出すと見事な空振りである。

 ところが,手球ハリネズミは,そのタイミングに合わせて勢いよく走り出し,中央の固まりにぶつかった。すると,15匹のハリネズミは,それぞれ弾かれたかのようにバラバラの方向に走り出し,互いにぶつかりあったり,台のクッションに当たって跳ね返ったりしているうちに,3番のハリネズミが隅のポケットに走って行き,見事にそこに収まった。「おう,ナイスショット」と一同。「何だ,こんなことなら簡単だわ」と思ったアリス,女王の許可を得て,次のショットだ。再び手球ハリネズミに向けて,フラミンゴを突き出すと,今度はかろうじてフラミンゴの頭が手球に当たり,弾けるようにとんで行った手球は,何回かクッションやほかのハリネズミにぶつかったあとで7番をポケットに落とした。「してやったり」とアリスが女王を見ると,「ま,そんなところじゃな」と女王。「では,わらわの番じゃ」。

 訳がわからなくなったアリスが公爵夫人にあとでルールを聞くと,一番最初にポケットするハリネズミは何番でもよいが,その後にポケットする番号は既にポケットした番号のどれかと1番違いでなくてはならないということであった。だから,3番を落とした後,落とすハリネズミは,2番か4番でなくてはならなかったのだ。

 結局,その後は女王が連続で次々にハリネズミをポケットしていき,最後のハリネズミまでも落として簡単に勝利をものにしてしまったが,このあたりで問題である。

 まずウォーミングアップとして,アリスに3番を落とされたあと,この連続ショットによる勝利を得るために,女王がハリネズミをポケットしていく順番は何通りあるかを考えていただきたい。次に,女王がブレイクショット(最初の一突き)をするとして,相手に1回もショットのチャンスを与えずに勝利する場合のハリネズミの落とし順は何通りあるだろうか?

 寛大なところを見せようとして,女王は,「10匹目のハリネズミをアリスがポケットしたらアリスの勝ちにする」というルール変更を提案したが,最後の問題として,この場合にブレイクショットを得たアリスが相手に1回もショットチャンスを与えずに勝つには何通りの落とし順があるか考えてほしい。

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