パズルの国のアリス

続・色模様反転装置(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 先月号で紹介した白の騎士の色模様反転装置は,意外なほど評判がよく,うわさでは鏡の国以外からも多くの問い合わせや注文をもらい,白騎士の副業の中では一番の稼ぎ頭であったウイスキーの製造販売業(2010年2月号)を凌ぐほどだという。格子模様を塗り替えるには確かに便利だけれども,そんな用途の限られた装置がどうして評判になるのかアリスにはさっぱりわからない。ともかく白の王様とともに工房に応援に駆けつけてみた。

 先月号では,2×2と3×3の反転装置を作ったことを述べたが,白騎士は,悦に入ってそのほかに5×5や7×7の装置の試作品も作ったらしく,前に作った装置のそばにそれらが並べて置いてある。ところが,当人は,方眼紙を前に頭を抱えて何やら悪戦苦闘中で,アリスと王様の顔を見ても悩ましげな表情を崩さない。

 「商売は,順調と聞いたが,そのわりにはずいぶんと難しげな様子じゃな」と王様。「は,陛下。実は,どのようなサイズの装置があれば,模様を好きなようにできるかを色々考えておりまして」と騎士。それを聞いてアリスは,「そんなら,前にも言ったように,1×1の装置を作るのが一番簡単に違いないのに」と思ったが,そんなありきたりの答えは鏡の国では問題にもされないに決まっている。

 「例えば 5×5の真っ白な格子模様を中央のマスが赤の市松模様にすることは2×2と3×3の装置を使えば何とかなることはわかったのですが,中央のマスが白の市松模様にすることはできそうもありませんでした。それで全体を反転するのが手っ取り早いだろうというわけで5×5の装置を作りました。格子全体が十分大きいなら,2×2,3×3,5×5でどんな模様もできるかとも思えたのですが,他に7×7の装置も試作してみました。ですが,これが本当に必要という場合があるかどうか……」

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 「ふーむ。そちは正方形の装置が好きなのじゃな。それにしても4×4とか6×6とかいう装置はいらんのか?」と王様。

 明らかにこの王様の問いは愚問である。白の騎士は,王様の機嫌を損じないようにどう答えようかと余計な気を使うことになったが,それについては騎士に任せておいて,読者には騎士の悩みを解決していただきたい。まず,ウォーミングアップとして,騎士のいう「2×2と3×3の装置によって,5×5の真っ白な格子模様を中央のマスが赤の市松模様にする」方法を考えていただこう。また,その2種類の装置だけでは白い5×5の格子を中央のマスが白の市松模様にすることができないことを証明していただきたい。どちらについても7月号の解答が参考になるかもしれない。

 5×5の装置がさらにあれば相当のことができる。そこで次には,白の騎士の疑問,つまり2×2,3×3,5×5の装置3種で7×7の装置の代わりが務まるかどうかについて考えてほしい。

 これまで述べてきた装置は2色を反転させるものだった。白の騎士は,さらに3色を扱う装置を構想している。これは,例えば,装置が覆ったマス目の色を,赤→青,青→黄,黄→赤と一斉に変換するものだ。このような装置を用いてどのような模様転換ができるかを考えるのも面白いかもしれない。例えば,2×2,3×3,5×5の装置だけを使って,6×6格子の模様を好きなように変化させることはできないが,読者はそのことを証明できるだろうか?

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