パズルの国のアリス

賢者たちのチーム戦 (解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 最初のコンテストは,実は,偶数人からなる白駒チームの必勝である。帽子のかぶせかたがランダムならもちろんそんなことはないのだが,かぶせかたを相手チームが指定するということで状況が変わってしまい,どのチームも正答率50%を超えることがありえなくなるのだ。

 なぜだろうか。仮にスペードチーム13人がある戦略を立てたとしよう。それに対して相手チームは,スペードチーム全員に番号1か2の帽子をかぶせようと決めることができる。この場合,帽子のかぶせかたは213=8192通りある。さて,スペードのエースにかぶせる帽子を除くと,残り12人への帽子のかぶせかたは212=4096通りあり,これを見てスペードのエースは自分の帽子が奇数番か偶数番かを答えなければならない。すると戦略がどんなものであれ,自分にかぶせられる可能性のある番号1と2のうち,一方は正答で他方は誤答になる。つまり,8192通りのうち,スペードのエースが正答するのは4096通りで,誤答するのも4096通りである。これは,明らかにエースだけでなくスペード全員に当てはまる。つまり,各人は8192通りのうち,4096通りに正答し,4096通りに誤答する。よって8192通りすべてを考えたとき,戦略にかかわらず,合計正答数は4096×13=53248である。ということは,8192通りの中には必ず正答率が50%以下になるかぶせかたが存在するということだ。というのは,どんなかぶせかたでも7人以上が正答するなら,合計正答回数は8192×7=57344以上になり,53248を超えてしまうからだ。

 従ってスペードチームがどんな戦略をとってこようと,相手チームは番号1と番号2の帽子をうまくかぶせることで,スペードチームの正答数を6以下に抑えることができる。6/13<0.5であるから,相手チームは自分たちの正答率を50%にできれば,この対戦に勝利でき,実は,偶数人のチームにはこれが達成できる。やり方は簡単で,チームメンバーが2人ずつペアになり,一方は自分の相方が偶数番なら「偶数」,奇数番なら「奇数」と答え,他方は反対に相方が奇数番なら「偶数」,偶数番なら「奇数」と答えるのだ。この戦略ならばかぶせかたにかかわらず,ペアのうち一方は必ず誤答し他方は必ず正答することを確認されたい。

 次の部屋での対戦だが,これも白駒チームが勝利する。理由はやはり人数だが,偶数だからではなく,スペードチームより多いからである。この場合,前しか見えないというハンディキャップにもかかわらず,後ろの人の答えを聞いた後で答えられるということを利用して,n人のチームでは,一番後ろの人を除く全員,つまりn−1人が正答する戦略があるのだ。例えば次のようなものである。

 一番後ろの人は,自分より前に奇数番が何人いるかを数え,それが奇数ならば「奇数」,偶数ならば「偶数」と答える。すると後ろから2番目の人は,その答えと自分の見ている番号中に奇数がいくつあるかということを比較することで,自分の番号の奇偶性がわかる。例えば,一番後ろの人の答えが「奇数」で,自分に見えている番号の中に奇数が偶数個しかなければ自分は奇数番である。それ以降の人も,自分の前までの「奇数」という答えの個数と自分に見えている奇数番号の個数を対比することで自分の番号の奇偶性がわかる。つまり,その合計が奇数ならば自分は奇数番であり,偶数ならば偶数番である。

 こうして,一番後ろの1人を除いて全員が確実に自分の番号の奇偶性を当てる戦略が存在するから,n人チームでは正答率(n−1)/nが保証される。一方,どんな戦略を採用しようと,一番後ろの人の答えは,前の人たちの帽子の番号だけから決めざるを得ないので,それを裏切るような帽子のかぶせかたが必ず存在し,正答率を(n−1)/n以上に上げることはできない。従って,互いに最善を尽くした場合,16人チームの正答率は15/16,13人チームの正答率は12/13となる。

参考にした本
Mathematical Puzzles:A Connoisseur's Collection(2004),
Mathematical Mind-Benders(2007) P. Winkler。
邦訳は『とっておきの数学パズル』(2011年),『続・とっておきの数学パズル』(2012年),ピーター・ウィンクラー著,坂井公・ 岩沢宏和・小副川健訳,日本評論社。

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