パズルの国のアリス

アリス,マジックに再挑戦(解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 このマジックのポイントは,誰に尋ねるかによって,その答えからアリスが知る内容が異なるようにしておくことだ。

 具体的には,次のような仕掛けをしておくとよい。1から100までの番号を2進法で表すと7ビットでどれもが区別できる。そこで,サンデイからサタデイまでに正解の各桁を左から振り分け,それぞれが1と0を「ハイ」と「イイエ」に変換して答えるようにしておくのだ。つまり,サンデイは正解が64未満ならば「イイエ」,64以上ならば「ハイ」と答える。またサタデイは正解が偶数ならば「イイエ」,奇数ならば「ハイ」と答える。マンデイからフライデイまでの答え方は,もう少し複雑にはなるが,それでも大した計算ではない。

 さて,審判員からアリスに告げられる2つの選択肢は,もちろん違う番号である。つまり,その2進表記を7桁並べるとどこかのビットが異なっている。たとえば,正しい箱が90番でもう一つの選択肢が28番だったとしよう。すると,90と28のそれぞれの2進表記は1011010と0011100であり,この2つの数は左から1,5,6桁目で異なっている。そこで,アリスはこれらの桁を担当しているサンデイ,サースデイ,フライデイの誰かに尋ねればよいのだ。

 たとえば,「フライデイちゃん,ポットの中は快適ですか?」と聞けば,フライデイは自分の担当が6桁目であり,正解90の6桁目は1だから「ハイ」と答える。すると,アリスは自分が持っている選択肢2つと比べることで,正解が90だと知ることになる。

 このマジックはいささか自由度が大きい。つまり,上のケースでは,フライデイでなくサンデイやサースデイに尋ねても,マジックはうまく進められる。そのことがマジックを面白くしているようにも思うが,数学的にはやや冗長になっていることが筆者には気になる。この冗長度を下げて,姪の人数を減らすことが可能だろうか? アリスの持つ選択肢の数が増えたときには,この種のマジックはどうすればよいだろうか? 姪たちの答えに「ハイ」と「イイエ」以外のものを使えるとしらたどうなるだろうか? などなど,考えられる改善や一般化は多い。読者諸賢の知恵を拝借したい。

参考にした本
Mathematical Puzzles:A Connoisseur's Collection(2004),
Mathematical Mind-Benders(2007) P. Winkler。
邦訳は『とっておきの数学パズル』(2011年),『続・とっておきの数学パズル』(2012年),ピーター・ウィンクラー著,坂井公・ 岩沢宏和・小副川健訳,日本評論社。

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