パズルの国のアリス

先攻は有利か?(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 恒例の「不思議の国 vs. 鏡の国 何でもオリンピック」が近づいてきた。両国王から委任されたオリンピック委員会は,新競技「あっち向いてホイ」の公式ルール作りでもめている。

 決まっているのは次のことだ。まず,先攻後攻をジャンケンで決める。勝ったほうをA(アリス)とし,負けたほうをB(トカゲのビル)としよう。Aが先攻になり,「あっち向いてホイ」の掛け声とともに,Bの顔の前で左右どちらかを指さす。Bは,同時に左右どちらかに顔を向ける。このとき,Aが指さした方向とBが顔を向けた方向が一致すると,Aの勝ちになる。不一致だと,次は攻守が入れ替わる。こうして,顔と指の向きが一致するまで,攻守を交代しながらゲームを続ける。

 もめているのは,その後のことだ。顔と指の向きが一致した最初の1回だけで勝者を決めてしまうのは味気ないので,このときは1点入るだけとし,さらにこの先も同じように「あっち向いてホイ」を繰り返し,先に4点を取ったほうを勝者としようという案に落ち着きかけている。

 問題は2点目以降の先攻をどのように決めようかということだ。再びジャンケンでという案は,「あっち向いてホイ」以外の要素が入りすぎるし,あいこが続くと時間も余計にかかるので,早々に却下された。残った案は,次の4つである。

(1)どちらが得点したかに無関係に,そのまま攻守を入れ替え「あっち向いてホイ」を続ける。

(2)得点した場合,点を取った側が先攻で次のゲームに入る。

(3)2点目ではいつもBが先攻になる。以後も,交互に入れ替わる。つまり,それまでの得点合計が偶数ならAが先攻で,奇数ならBが先攻である。

(4)点数が入るたびに,先攻は常にAに戻る。

 委員長は不思議の国から委任されたドードー鳥で,次のような意見である。「フム,そもそも先攻のほうが有利なのよね。だったら(4)はAに有利すぎてダメね。最初のジャンケンで勝敗が決まってしまうようなものだわ。(2)も似たようなものね。Aが立て続けに得点して一気に決まってしまうかもしれない」。

 それに対して,鏡の国から委任された副委員長の白い紙の服の紳士が言う。「いやいや,そうとも限りませんぞ。確かに,(4)はAに有利そうですが,(2)はBが1点でも得点すれば,その後はBが先攻になりますからな。まあ,確かに(1)や(3)のほうが公平に聞こえますが,本当にそうですかな。そもそも先攻が有利といっても,どのくらい差がありますか」。

 この問題に対して読者にアドバイスをいただきたい。まず,ウォーミングアップ問題として,最初の1点をAが取る確率を計算していただこう。AもBもベストを尽くすので,1回の「あっち向いてホイ」で顔と指の向きが一致する可能性は1/2とする。次に(1)〜(4)の方式をAに有利な順に並べていただこう。余裕のある読者は,各方式でAが勝利する確率を計算するのも面白いだろう。さらに,顔と指を左右だけでなく上下に向けてもよい場合はどうなるだろう。その場合,顔と指の向きがそろい点が入る確率は1/4とする。

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