パズルの国のアリス

怪しい鉄道運営(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 イモムシ探偵局に鏡の国の白の王様から調査依頼が来た。鉄道運営で何やらけしからんサボタージュか不公平が行われているのではないかというのだ。その依頼によると次のような話である。

 鏡の国には,東西に走る鉄道路線があり,チェスの駒にちなんだ名前の8つの駅の間を結んでいる。西の終点は西ルーク駅で,そこから東へ,西ナイト駅,西ビショップ駅,クイーン駅,キング駅,東ビショップ駅,東ナイト駅と順に並んでいて,その次が東の終点の東ルーク駅だ。走っている列車は1本だけで,両終点間をシャトル運行しているという。

 王の側近の白騎士は,走る列車を見るのが大好きで,最寄りの東ナイト駅までよく散歩する。駅のすぐそばの喫茶店でコーヒーを飲みながら列車が駅に入ってくるのを待って,それを眺めてからまた歩いて帰るのが日課のようになっている。ところが,白騎士は妙なことに最近気づいた。それは,列車が最初に駅に入ってくるのが,東からよりも西からのほうが圧倒的に多いことだ。ここ数カ月の統計をとってみると,西から来るほうが東からよりも3倍半も多かった。

 というわけで,白の王様の依頼は,まさか秘密の線路を通って列車が東から西に戻されているわけでもないだろうが,ともかく列車のシャトル運行がちゃんと公平に行われているかを調査してほしいということだ。

 これを受けて,アリスがグリフォンを手伝って調査を開始すると,次のことがわかってきた。

● 白騎士が散歩で駅に着く時間は,まったくランダムで,列車の運行ダイヤグラムとは何の相関もない。
● 列車はどの駅間もピッタリ10分で走っており,終点以外の駅で止まっている時間は無視できるほど短い。
● 列車は東西の終点では一定時間休んで次の運行に備えるが,時間がくると遅滞なく逆向きの運行を開始する。

 ここまで知らせた段階で,グリフォンは「ああ,それなら,問題は何もないね。おそらく鉄道運営はまったく公平だ。そしたら,終点での列車の停止時間は20分くらいだよね」と言った。アリスが調査メモを見ると,確かに停止時間は20分であったが,どうしてグリフォンにはそれがわかったのだろうか?

 このごろ利用者が増えてきているので,鏡の国鉄道では,線路を複線にして,運行する列車の本数を増やそうかと考えているが,2本の列車が運行している場合,白騎士が最初に見る列車が,東西どちらから来るかの比率はどうなるだろうか?

 さらに,一般にn本の列車が運行している場合はどうなるだろうか?ただし,各列車の運行の仕方は1本だけの場合とまったく同じで,他の列車とは調整などせずまったく独立に動くものとする。

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