パズルの国のアリス

大工が請け負った タイル貼り工事(問題)

 アリスが鏡の国の海岸を散歩しているとき,鋸や金槌を手にした初老の男が太った大きな動物と親しげに話をしているのを遠くに見かけた。動物は,大きな牙を持ち,胴に申し訳程度の短いひれ足がついている。「あれ,あの人たち,トウィードル兄弟に最初に会ったときの詩の中に出てきた,ええと……そう,大工とセイウチに違いないわ」と思ったアリス,詩の中でかわいそうな牡蠣たちを2人が残らず平らげてしまうことに反感を持っていたので,思わず足が止まった。

 よく見ると大工とセイウチの間には,貝殻のように見える平たいものがたくさん積まれている。「冗談じゃないわ」。アリスは2人を止めようと脱兎のごとく駆け出した。しかし,近づいてみると貝殻に見えたのは,白地の中に様々な色の斑模様がある長方形のタイルだった。

 その2人は確かに大工とセイウチだったが,突然,血相を変えて飛んで来たアリスを見て,「ははあ,あんたが例のパズル好きの女の子だね。双子から話を聞いていたよ」と大工。「ちょうどいい,ちょっと考えてくれないか?」

 アリスは,パズルと聞いて,2人に対して抱いていた反感をすっかり忘れ,話に聞き入った。大工によれば,今度,チェス王室宮廷での浴室修理を仰せつかったという。そのために60cm×1mのスペースをタイルで貼る必要があって,その素材として取り寄せたのが2人の間に積んであるタイルだという。1枚のサイズは5cm×8cmで面積は40cm²だから,6000cm²分ということで,150枚を注文した。色とりどりなのは,並べ方を工夫すれば面白い模様を作れるかもしれないと考えたからだが,実物が届いていざ並べてみると,それどころではなくなった。セイウチの協力も仰ぎ,色々と試してみたが,このタイル150枚をどう並べても,60cm×1mのスペースを埋める方法が見つからない。どうしても何枚かのタイルを2つに切って使う必要がありそうだというのだ。

 そこでアリスと読者への問題だが,まずウォーミングアップとして,何枚かのタイルを2つに切って,上記のタイル150枚で60cm×1mのスペースを埋める方法を考えてほしい。タイルを置く方向は自由なので,これには様々な方法があるが,切るタイルの枚数をなるべく減らすように心がけていただこう。

 次なる問題は,もちろん,大工には気の毒だが,今の5cm×8cmのタイルをそのまま使って60cm×1mのスペースを埋める方法がないことを証明してもらうことだ。大工とセイウチが牡蠣をだましてたらふく食べた罰としては,これは軽すぎるかもしれない。

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