パズルの国のアリス

サイコロで複数賭け(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 賭け事が大好きな赤のポーンたちが,また寄り集まってワイワイガヤガヤと騒いでいる。

 興味深々のアリスが例によって首を突っ込んでみると,彼らが囲んでいるのは,いつも使っている正八面体のサイコロ3つだ。赤,黄,青に色分けされてはいるが,いまやアリスにとって,その形のサイコロは鏡の国では珍しくない。何か変わった目でも描いてあるのかとよくよく見てみたが,これも何の変哲もなく,どれにも1から8までの目が1面ずつあるだけだ。

 アリスが怪訝な顔でポーンたちを見回すと,ひとりが「別に特別なサイコロは使ってないよ。賭けのやり方だけ変えようという案が出ててね」と説明する。「親がこの3つのサイコロを同時に振る。そこで,各色の目がどうでるかを子が当てようというわけさ」。

 「え,3つとも当てるんですか。そんなの大変ですよ。赤,黄,青が当たる確率がそれぞれ1/8だから,全部が当たるとなると,えーと……」

 「そうなんだよ。もちろん掛け率を調整すればそれでもいいんだけど,500倍以上で宝くじみたいになってもね。そこで,3つのサイコロのうち,2つを当てればいいということにしようと思うんだ」

 別の1人が引き継ぐ。「そこで,その掛け率だけど,サイコロのうち2つ,例えば赤と黄が当たる確率は1/8×1/8=1/64だよね。でも,当たるのは赤黄とは限らないで,赤青,黄青の場合もあるから,それぞれ1/64で結局2つ以上が当たる確率は合計3/64だから,3対64。たとえば1回の賭け金は銀貨3枚でそれは没収されるけど,当たれば64枚が払い戻されるということでよいと思うんだけど……」

 もちろん,アリスはこんな論法にだまされることはなかったが,読者には,まず,ウォーミングアップとして,上の賭けを平等にするための正しい掛け率を計算していただきたい。

 上の場合でも,まだ当たる確率が小さすぎると感じたポーンたちは,さらに1回の賭けで子はサイコロの予想値を同時に何組か提示できることにしようと提案した。予想値の各組は赤黄青のサイコロの3つの目からなり,その2つが的中すれば当たりだ。子が予想値を複数組,例えばn組提示した場合,そのどれが当たっても当たりであるが,払戻金は1/nになる。

 この複数賭けを許した場合,一般には子が不利であることに読者は気づいておられようが,直ちに損になるわけではない。最大で何組までなら損にならないように子は予想値を増やすことができるだろうか?

 さて,上の2つのウォーミングアップ問題のあとは,やや難問に挑んでいただこう。上の複数賭けの場合に,確実にどれかの予想値が当たるためには,予想値を最低で何組提示する必要があるだろうか。確実に当てるための予想値1セットを提示し,それより少ない数のセットでは当たらない場合があることを証明していただきたい。

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