パズルの国のアリス

ハートの4の受難(解答)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 先月号の解答例と同じように,各兵士は名刺を持っていて,鉢合わせするとそれを交換するものと考えることにしよう。最初の問題では,各名刺は,どちら向きであっても守衛所で1回だけ跳ね返り,延べ200m進んだところで停止する。停止点は,進んだのが守衛所間の距離と同じだから,中央の大手門から見て出発点と対称的な位置にある。しかし,このときハートの4が持っている名刺は誰のものだろうか?

 実は,それがわかるのだ。つまり,各名刺が大手門を中心として出発点と対称の位置で停止するということは,そのとき名刺の並び順が逆転していることを意味する。一方,兵士たちは,元の並び順をずっと保ち続ける。ということは,西から4番目の位置にいるハートの4が停止時に持っている名刺は,出発時には東から4番目にあったもの,すなわちハートの7の名刺だということだ。

 名刺が真ん中で停止するようにするには,もちろん真ん中から出発させればいい。こうして,スペードのエースが耳打ちしたのはハートの7で,その指示は「どちらの方向でもいいから,中央,つまりハートの女王の真ん前からスタートするように」というものであった。

 その翌日の問題の場合,エースから10までの各兵士たちのスタート位置を西の守衛所からの距離で測り,順にx1,… , x10mとしよう。エースから5までの名刺は東方向に進み続けるので,停止したときその位置はx1+130,…,x5+130である。また,6から10までの名刺は西方向に進み続けるので,停止したときその位置はx6−130,…,x10−130である。

 ここでまた,それらの名刺を持っているのが誰かということが問題になるが,幸いにして,0≦x1<x2<…<x10≦200ということがわかっているので,そのことからx6−130< … <x10−130<x1+130<…<x5+130が得られる。兵士の並び順は変動しないから,停止時にハートの4が持っているのは西から4番目,すなわち位置x9−130にある名刺である。従って,ハートの4の停止位置を決めるのに知らねばならない情報はx9,すなわちハートの9のスタート位置だけであり,スペードのエースは,それより130m西で待っていればよいということになる。

参考にした本
Mathematical Puzzles:A Connoisseur's Collection(2004)
Mathematical Mind-Benders(2007) P. Winkler著

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