パズルの国のアリス

チェス王室の払い下げ品(問題)

坂井 公(筑波大学) 題字・イラスト:斉藤重之

 鏡の国のチェス王室では,赤と白の両女王の発案により,不用になった物品を処分することになった。といっても,王室は必ずしも裕福ではなく,不用とはいえまだ使える物も多いことから,オークションにより民間に払い下げようということになった。やり方は簡単だ。不用品を宮廷のホールに並べ,臣民を呼び入れて,自分が欲しいものがあったらそれに自由に値をつけてもらうのだ。

 数週間後,入札結果を調べ,一番高い値をつけた者にその価格で品物を引き取らせる。同じ値を付けた者が2人以上あれば,くじ引きで決めることにした。値踏みの際に,入札者の間で談合が行われる可能性もあるが,もともと不用なものだから,慈善事業の一部と考えて,つまらぬ詮索はしないこととした。

 ここまでは,とんとん拍子に話が進んだ。問題は売上金の分配である。元の物品が赤の王室からのものならば売上は赤のもの,白の王室からならば売上は白のものという点は問題ないが,困ったことには,共用のものや古くてどちらの王室に所属するか不明なものがひどく多く,入札が終わってみると,むしろ総売上額はこちらのほうがずっと多かったのだ。

 それならその分は半々に分ければよさそうなものだが,ゲーム・パズル好きの女王たち,そんな当たり前の案では満足しない。値がついた物品を前に赤の女王が次のような提案をした。

 「所属のはっきりしないものについては,最初に白の女王陛下が,自分の王室の分として,好きな物を半分までは自由にお取りなさい。それらにはまず白いラベルを貼り,残りは赤の王室の物として赤いラベルを貼ります」。
 「赤の陛下,それでは申し訳ない。わらわの王室が一方的に有利になってしまいます」。
 「いえ,それで終わりではありません。そのあと,私めが入札者の一部を選んで名前のリストを作りますので,その者に順にホールに入ってもらい,自分が入札したものについては,ラベルの色を全部反転してもらいます。それが終わった段階での最終的なラベルの色で売上金の所属を決めるというのではいかがでしょうかな,白の陛下?」

 2人の女王に代わって,読者に考えていただきたいのは,この取引がどちらの王室にとって有利かということである。誰がどの品にいくらの入札をしたかということは,どちらの女王も知っているものとする。もちろん,女王たちは,自分の王室に対して背信行為をすることはなく,なるべく多くの売上金を得ようとする。

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