パズルの国のアリス

偽造金貨と信用できない計測結果(問題)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

偽造金貨と信用できない計測結果

 

迷探偵芋虫とその助手グリフォンがピカピカ光る金貨何枚かを並べて眺めながら,溜め息をついていた。例によって好奇心旺盛なアリスが口を出す。

「わあ,新品の金貨ですね。とっても綺麗! さわってもいいですか?」

「ダメ,ダメ,大事な証拠品だ。お前さんの手垢がついては困る」と芋虫。

手垢といわれてアリスは一瞬ムッとしたが,すぐに意味深な「証拠品」という言葉に反応する。「証拠って?」と怪訝そうな顔でグリフォンを見ると,グリフォンは了解を得るように芋虫をチラッと見て「まあ,この子は一味ではありえないから……」。

「実は,この8枚の金貨は8カ所の鋳造所から1枚ずつ持ってきたサンプルなのだが,鋳造所のうち1カ所は金貨偽造団の拠点になっているという情報が入ってきた。つまり,1枚は偽造金貨というわけだが見かけでは区別がつかない。実は偽造金貨は本物よりほんの少し軽いことがわかっているのだが,それが実に微妙な差で,特殊な電子天秤で比べないと違いがわからず,1回の計測にかなりの費用がかかる」

「ははあ,それで計測回数をなるべく減らしたいというわけですね」と勘のいいアリス。「でも,そういうパズルなら前に解いたことがあるわ。あれは確か……」。

「うむ。普通なら2回測ればわかる」とえらそうに芋虫。「ところが,ここに別の問題があるのだ。電子天秤を扱える技術者は,鏡の国にいる4人の騎士だけなのだが,そのうちの1人には,偽造団の息がかかっているらしい。つまりその騎士からの計測結果報告は必ずしも信用がおけない。もちろん,本当にそういう騎士がいるかどうかもわからないので,各騎士に1回ずつ計測を頼んでみようかと考えているのだが,それで確実に贋物(にせもの)を見つける方法がないか考えているわけだ」。

さて,読者の皆さんには,よく知られた問題ではあるが,まず,計測結果報告が信用できる場合に,電子天秤2回の計測で偽造金貨を見つけ出す手順を考えていただきたい。

次に,4人の騎士に1回ずつ計測を頼んで贋物を見つけ出す手順を考えていただきたい。ただし,この場合,計測結果報告の1つには嘘が混じっている可能性があることをお忘れなきよう。

さらに次のような問題はいかがだろうか? 16枚の金貨があるが,そのうちの1枚は贋物だとわかっている。贋物は見た目では本物と区別がつかないが,わずかに放射性物質が含まれている。7人の技術者に計測器で放射性物質の有無を1回ずつ測ってもらうことで,贋物を特定することはできるだろうか? ただ し,技術者にはその報告が信用できないものが1人だけいる可能性がある。

 

 

今月の問題:偽造金貨と信用できない計測結果

 問題

問題:8枚の金貨の中から1枚の贋物を探し出すのが課題。贋物は本物より少し軽い。まずは,天秤を使って2回の計測で量る方法だ。その手順を考えよう。次に,計測を頼む4人の騎士のうち,誰か1 人が贋金づくりの仲間かもしれない場合を考える。もし,本当に仲間であれば,その騎士からの計測結果報告は信用できない。だが,どの騎士かはわからないし,そうした不心得者が騎士の中に本当にいるかどうかも定かではない。こうした条件で4人に1回ずつ計測してもらい,贋金を見つけるには,8枚の金貨を天秤にどう載せてもらえばよいか?

これが解けたら,次は16枚の金貨を7人の技術者が1回ずつ計測する場合を考えてほしい。ただし,この16枚での贋金は軽いのではなく,微量の放射性物質を含んでいる。7人は放射性物質の有無を調べるが,この場合も,1人が嘘の報告をする可能性がある。

 

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