パズルの国のアリス

チームで参加! 何でもオリンピック(問題)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

チームで参加! 何でもオリンピック

 

「不思議の国 vs. 鏡の国 何でもオリンピック」が迫っていて,どちらの国でも選手たちはその練習に余念がなかった。

鏡の国では,選手に選ばれるのはそれほど難しいことではないのだが,別の問題があった。というのは,今回の開催地は,不思議の国のクローケグラウンドであり,選手団は遠征しなければならないことだ。あまり国庫が豊かではない鏡の国にとっては,この費用がバカにならない。そこで近年では,半数くらいの選手の遠征費は国庫負担だが,残りの選手は自己負担で参加することになっている。

この負担の振り分け法が一風変わっている。選手団のユニフォームは国からの支給であるが,全員を集め,目隠しをさせた上でそれを着せるのだ。

ユニフォームの背には競技種目に無関係に0番から順の通し番号のゼッケンが縫い付けられているが,ここで問題なのは用意されるユニフォームの数が選手数より1つ多いことだ。例えば選手が全部で99人なら,0番から99番までのユニフォームが用意される。着せられたあと,1枚だけ余ったユニフォームは,誰にも見えないようにして,しまわれる。目隠しを外したあと自分のゼッケン番号を正しく言い当てた選手の遠征費は国庫負担となり,当てそこなうと自己負担となる。

当てるに際しては,誰かの助言を受けることはできないが,他の選手のゼッケンはすべて見ることができるので,自分のゼッケンと誰にも着せられなかったユニフォームのゼッケン以外はわかる。結局,残りの2 つのうちどちらかということになるので,確率は1/2となり,自腹を切る選手はほぼ半数になるというわけだ。

この選び方は公平といえるが,団体戦の競技者には悩ましい問題が生じる。例えば8人9脚競走の代表権を得た白のポーンたちは貧しい者が多く,たった1人でも遠征費用が自腹ということになると,それを捻出できず,チーム全体が出場断念ということになりかねない。

また,二人羽織そば食い競争のトウィードルダムとトウィードルディーの兄弟の場合,金持ちの伯父がついてはいるが,遠征費用を1 人だけ出すと兄弟喧嘩の原因になるので,できることなら,2 人とも国費で行かせたい。

さて,ダムとディーの兄弟のために2人ともが,また白のポーン8人チームのために8人全員が国費にありつく確率を最大にするような戦略を考えていただきたい。

 

  

今月の問題:チームで参加! 何でもオリンピック

 問題

問題:不思議の国で開催される何でもオリンピックに出場する選手には,ある課題が与えられる。これをクリアすれば遠征費は国庫負担に,ミスすると自腹となる。

課題は,自分のユニフォームのゼッケン番号を言い当てるというもの。ユニフォームは選手の人数より1枚だけ数が多く,ゼッケンは通し番号になっている。余ったユニフォームは見えないように片づけられる。各選手は誰からも助言を得ることはできないが,自分以外の選手のゼッケンは見える。

結局,わからないのは,自分のと余ったユニフォームのゼッケンだけなので,言い当てられる確率は1/2だ。

この抽選法は公平だが,団体戦の競技者にとっては悩ましい。白のポーンは8人チームの全員が国庫負担にならないと,参加を断念するしかない。トウィードルダムとトウィードルディーの2人もどちらか一方が自腹になると兄弟げんかを始めそうだ。双子兄弟のために2人とも,ポーンのために8人全員が国費にありつく確率を最大にする戦略を考えるのが,今回の問題だ。

 

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