パズルの国のアリス

“公平な配分案”で独り占め(解答)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

 

解答例ジョーカーのからくりのポイントはボーナスを受け取る兵士の数を段階的に減らしていくことだ。そのためには,支給を受ける兵士のボーナス額を一時的に上げる必要がある。

ジョーカーは,最初,自分と他の兵士19人のボーナスを犠牲にして,残りの20人の兵士のボーナスを銀貨2枚に倍増することを提案した(1人の兵士は銀貨1枚のまま)。この案には,ボーナスがなくなる兵士19人は反対したが,賛成票が20票あり,白票は1票で可決された。次には,支給を受けている21人 (2枚が20人,1枚が1人)のうち,10人のボーナスを0にして,残りの11人のボーナスを1枚ずつ増やす案を提案した。このときは,賛成11票,反対 10票,残りの19人はもともとボーナスは0なので白票を投じた。こうして,ジョーカーは,さらにボーナスを支給する兵士の数を6,4,3,2と,段階的に減らしていったのだ。

どの段階でも,受給者の人数をその前の段階の半分以下には減らすことができないので,受給者を1人だけにすることは不可能だ。だから,最後にジョーカーはボーナスが0になっていた3人の兵士に銀貨1枚ずつのボーナスを贈り,2人の高額ボーナス受給者を0にする。こうして,ジョーカーが得るボーナスは,最終的には銀貨38枚になるが,それより多くはできない。

ただし,この段階に達するまでに,兵士に支払う銀貨の延べ枚数を上の手順よりもっと減らすことはできる。興味ある読者は挑戦してみられたい。

パズルはただ楽しめばよく,教訓を求める必要はない。だが,あえて付言するなら,いくら公平に見えても,第三者の冷静な目を経ずに当の利害関係者だけでものごとを決めるのは,大きな危険が伴うということなのかもしれない。

 

参考にした本:Peter Winklerによる次の2冊(ともに出版元はA K Peters, Ltd.)Mathematical Puzzles: A Connoisseur’s Collection(2004)Mathematical Mind-Benders(2007)ルイス・キャロルによる『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』(さまざまな出版社から,さまざまな訳者による翻訳本や注釈本が出ている)

 

 

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