パズルの国のアリス

白ウサギの奇妙な時計(問題)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

白ウサギの奇妙な時計

白ウサギはトランペットを口に当て,大きく息を吸い込んだ。その視線はポケットから取り出して手に持った時計に注がれている。12時になると同時に,「ププップー」と吹き鳴らすと,ハートの兵士たちによるいつもの城門前のパレードが始まった。パレード自体は見慣れてしまったので,アリスの関心はなんとなく白ウサギの持っている時計に向かう。今でこそ「不思議の国」にしばしば来るようになったが,思えば,最初の冒険のきっかけは,走ってきた白ウサギが独り言を言いながらチョッキのポケットから時計を取り出して見て,また走り出すという,珍妙な行動を追いかけたことだった。

そんなことを思い出しながら,時計をのぞきこんでみて,アリスは驚いた。

「え,その時計? どっちの針も同じ長さじゃないですか。しかも,デザインもそっくりで見分けがつかないわ。それで何時何分か,どうしてわかるんですか」

白ウサギは,それがどうしたという顔で「そんなこと簡単さ。さっきは針が2つとも12を指していたから,もちろん12時ちょうどさ」。

「でも12時5分と1時の区別は?」

白ウサギはウンザリといった様子で「この時計は,とても精巧にできていて針は一定速度で滑らかに連続的に動くんだよ。12時5分だったら時針がピッタリ12を指すはずはないね」。

きょとんとしているアリスに向かって続ける。「まあ確かに,針を見ただけでは時刻がわからないことが,瞬間的にはあるけどね,大した問題じゃないさ。おう,そうだ。1日に何回そういう瞬間があるか,あんたにわかるかね。それと,12時ちょうどの後に来る最初のそういう瞬間の時刻はわかるかい?」

 

  

今月の問題:白ウサギの奇妙な時計

 問題

問題:白ウサギの懐中時計は2本の針の長さがまったく一緒で,デザインも同じ。つまり,区別がつかない。それでも,2本の針の位置から,今の時刻はわかるという。例えば,2本の針がぴったり1と12を指していたとしたら,それは1時以外にはありえない(12時5分だと,時針は12から少し進んでいる)。それでも,時針と分針の位置が入れ替わり可能な時刻はある。それは1日に何回あるか。また,12時の後に最初に来るその時刻は何時か。


ヒント 白ウサギが言うように,2つの針が12と1の上に来るのは1時しかない。しかし,12時5分から少したった時刻と1時を少し過ぎた時刻は,2つの針の位置がまったく同じになる。この時刻は代数的に計算しても解けるが,実はエレガントな解き方がある。

 

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