パズルの国のアリス

卵の強度テスト(問題)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

卵の強度テスト

ハンプティ・ダンプティが,全身に汗をにじませ息を弾ませて階段を上り下りしていた。アリスは,「今,流行のダイエット法ですか?」と尋ねたが,内心では「その体型ではそんなことしても無駄なのに」と思う。

「何だね? そのダイエ……何とかというのは」とハンプティ。

「いえ,その階段の上り下りのことなんですが……ずいぶん精が出るなと」

「好きでやってると思ったかね。仕事じゃよ。仕事」とハンプティは片手を持ち上げ,アリスの方に向けた。見ると卵が指の間に納まっている。「鏡の国農場からの依頼で品質検査じゃ。あやつら卵のこととなるとわしに頼んで来おる」。

アリスは,ハンプティの全身を改めて眺めたが,「これ以上の適任者なんているわけないわ」という言葉は呑み込んで,「品質って?」

ハンプティは,そんなこともわからんのかという顔で「卵の品質といえば,殻の堅さのことに決まっておる」と説明を開始した。「お前さんは知らんかもしれんが,この50段ある階段の一番上から落としても割れない卵の堅さが最高の硬度レベルで50じゃ。堅すぎて使いにくい面もあるから,最高硬度の卵が一番値段が高いわけではないがな。ともかく,次の硬度レベルは,もちろん49で,49段目から落としても割れないが50段目では割れてしまう。以下,レベルは0まであるが,一般にn段目から落としても割れないが,n+1段目から落とすと割れるのが硬度レベルnということになっとる」。

「ヒビが入るような卵は?」とアリス。

「そのような品質のあやふやな卵をわが鏡の国の農場で作るわけがなかろう。英国とか申したか,お前の故国とは技術がちがうのだ」アリスは,ムッとして,「オムレツを作るのに殻の堅さなんかどうでもいいわ」と思ったが,そんなことを言うとまた頭からバカにされるに決まっている。

「農場での品質管理はしっかりしていて卵の硬度は生産段階でわかるから,レベルごとに梱包されて出荷される。ところがだ,事故で箱の1つのラベルが剥がれてしまったというわけじゃ」

「それで落としてテストするために,そんなに何度も上り下りをしているのですか? 卵をたくさん持って上がり次々に落とせばいいでしょうに」

「おお,お前さんもそんなに愚かでもないようじゃな。実はわしもそうしたかった。ところがだ,農場のやつサンプルとして使える卵を1つしかよこさなかったのじゃ。そこで下の段から順にためしておる」

そのとき電話が鳴った。ハンプティが出てみると,電話は鏡の国農場からで,もし何らかの事情で硬度がわかる前にサンプルの卵が割れてしまった場合,もう1つだけ送ってくれるという。ということは,最初のサンプルの卵をいきなり高い段から落として割ってしまっても,2つめのサンプルでテストが続けられる。

ハンプティとアリスは,落としてテストする回数をなるべく少なくする方法を考え始めた。2人が考えた手順によれば,どんなに運が悪くても10回以内の落下テストでレベルが確定するという。どのような手順でテストするのだろうか?

サンプルとして卵を3個まで使えるなら,最悪の場合のテスト回数は何回にまで減らせるだろう?

 

  

今月の問題:卵の強度テスト

 問題

問題:卵の殻の堅さをテストすることになった。階段のn段目から落としても割れないが,n+1段目から落とすと割れる場合を硬度nとする。階段は50段まであって,50段目からでも割れなければ最高の硬度50となる。テストに使える卵は2つまでで,1つめの卵をいきなり高いところから落として割ったとしても,2つめのサンプルでテストを続けられる。階段の上り下りはなるべく少なくしたい。アリスとハンプティ・ダンプティはどんなに運が悪くても10回以内の落下テストで硬度レベルを確定する方法を思いついた。その方法とは? また,卵を3個まで使える場合,最悪の場合のテスト回数は何回まで減らせるだろう?

 

解答はこちらです

解答はこちらです