パズルの国のアリス

女王陛下,ご自身の冠の色は?(問題)

坂井 公(筑波大学)題字・イラスト:斉藤重之

女王陛下,ご自身の冠の色は?

 

鏡の国を代表する知恵者(と自分では考えている)ハンプティダンプティが塀の上で新しいパズルのネタはないかと思索にふけっていると,赤の女王と白の女王が,新しく女王になったばかりのアリスを伴って,ものすごいスピードで通りかかった。

ハンプティに気づいた赤の女王が急停止した。白の女王は何とかうまく止まれたが,アリスは思わず生け垣に突っ込みそうになる。「そちはまだまだ不器用じゃな。この程度の急停止でおどおどしておっては,とても女王は務まらんぞ」と赤の女王。ハンプティダンプティも,驚いたはずみで塀から落ちそうになったが,かろうじてバランスを取り戻す。

鼻の頭を生け垣の枝で引っかきむっつりとしているアリスを,女王がハンプティに紹介した。「女王見習いのアリスじゃ。よろしくな」。ハンプティは,アリスからは目をそらしたまま,恭しく頭を(つまりほとんど全身を)下げ,またあやうく落ちそうになる。

「そうじゃ,女王たるもの,足だけでなくおつむの訓練も必要じゃな」と赤の女王。「そちは何かアリス向けの面白いパズルを知らんか」。

ハンプティは,あい変わらず視線が定まらず何を考えているかわからない風情だったが,やがて「そうですな。では,お2人の先輩女王陛下も一緒にテストして差し上げましょう」「そんなことは頼んでおらん」「まあ,そうおっしゃらずに。ちょっと皆さまの冠を拝借」と言って3人の頭から冠を外した。

「さて,これから目隠しをしていただいて,皆さまの頭それぞれに新たに冠を載せます。色は赤か白ですが,今までと違って赤の女王陛下は赤とは限りませ ん。全員白かもしれませんし,全員赤かもしれません。目隠しをはずしますと,自分以外の冠の色はおわかりになりますね。その後3人別々に自分の冠の色をお当ていただきます。このとき,わからないとお答えになっても構いませんが,お3人ともわからない場合は皆さまの負けです。誰かがお答えになり,それが正解であれば皆さまの勝ちですが,1人でも間違いをなさると負けです。もちろん,他の方がどう答えたかを知ることはできません。

ただし,このゲームを始める前に,十分相談をして頂いてかまいません」

相談を始めると赤の女王が宣言した。

「ここは誰か1人が代表して当てるしかありません。よろしいかな。白の陛下もアリスもわからないとお答えなさい。私が当てることにいたします」。

すると白の女王が不満そうに「それはどうですかな,赤の陛下。わらわの方が勘は鋭いと思うのじゃが……」。アリスも「勘ならばこの2人より絶対自分のほうが……」と思っていたが,口を挟めずにいると,突然,妙案が浮かんだ。赤白2人の女王を説得するのに苦労したが,その戦略によればアリスたちの勝率は 3/4になる。いったいどういう案であろうか。

この問題では簡単すぎるという読者はこのゲームを7人で行う拡張版に挑戦してもらいたい。冠の色はやはり2色だ。実はアリスの戦略は人数が多くても通用し,むしろ有利になる。少なくとも1人が自分の色を答えれば,残りの人は「わからない」とパスしてもよい点が重要だ。

 

 

今月の問題:女王陛下,ご自身の冠の色は?

 問題

赤,白の女王とアリスの3人は自分にかぶせられた冠の色を当てるパズルに答えることになった。冠の色は赤か白のどちらか。全員が白のことも,赤のこともある。ほかの2人の冠は見えるが,自分のは見えない。「わからない」としてもよいが,1人でも間違えた色を答えたら3人とも負け。3人とも「わからない」でもやはり負けだ。事前の相談はできるが,他の2人が何と答えたのかを知ることはできない。「自分が勘で答えるから,あなたたちはわからないと答えろ」と赤,白の女王は言うが,アリスはもっといい戦略を思いついた。冠の色が2色だけなら,人数が多い方が有利になる。その戦略とは?

 

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