■C.
J. ホーガン/R. P. カーシュナー/N. B. サンツェフ
はるかかなたの銀河の中での話。燃え尽きてその一生を終え,宇宙の闇の中に消えていた1つの星が突如,大爆発を起こし,太陽の10億倍以上の輝きを放った。超新星の出現だ。光は広大な空間を越えて広がり,宇宙の膨張とともに引き延ばされ,暗くなっていった。そして,長い距離を飛び続けて,その光のひとしずくが私たちの地球にたどり着いた。
私たちなど世界各国の研究グループは,このように非常に遠くの超新星をいくつも観測し,そのデータをもとに宇宙の全体像を描き出し,宇宙の膨張の様子を探ってきた。そして驚くべき結果が出た。
宇宙はビッグバンによる誕生以来,膨張を続け,それに連れて宇宙の内に存在する物質(星や塵,ガスなどを合算したもの)の密度は低下し,だんだん希薄になってきている,と考えられている。ただ,膨張しているといっても,宇宙内に存在する物質の重力による内向きの力によって,ブレーキがかかり,その膨張速度は徐々に落ちてきている,とみられていた。現在,ほとんどの宇宙論研究者はこの「減速膨張」を支持している。
これに対して,超新星の観測データは,実際の宇宙は,私たちの想像よりも,はるかに広大で希薄らしいことを物語っていた。そして,宇宙の膨張は期待していたほどスローダウンしていないことも示していた。いや,それどころかスピードアップしているようなのだ。宇宙は,その内に存在する物質による“重力ブレーキ”をしのぐパワーで,自身の膨張に“アクセル”をかけているというのだ。
著者 <Craig J. Hogan/Robert P. Kirshner/Nicholas
B. Suntzeff>
ホーガンはケンブリッジ大学で学位を取得し,現在ワシントン大学教授で天文学科長を務める。カーシュナーはハーバード大学天文学教授で,ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの副所長を兼務。1937年の
Ia 型超新星の観測以来の1972年の観測のものが最も明るいものだったが,カーシュナーはは,この
Ia 型超新星の研究によってカリフォルニア工科大学でPh. D. を取得した。サンツェフはカリフォルニア大学サンタクルズ校でPh.
D. を取得,現在,南米チリのラセレナにあるセロトロロ・インターアメリカン天文台に勤務。