日経サイエンス  1999年4月号

子育てに熱心な昆虫たち

D. W. タラミー(デラウェア大学)

 ほ乳類や鳥類は子育てをするが,昆虫とくれば,産みっぱなしの代表選手だ。アリやミツバチなど社会性昆虫もいるが,だいたいは,あちらこちらに大量の卵を産んで,その一部が大人になればいいやという方式。
 これに対し,数は少ないものの,子供の面倒を見る昆虫もいる。子供たちを葉の先端にまとめておき,自分は根元で敵を見張ったり,子供たちを自分の体の下に集めたり,また,卵を背負って守る男親もいる。は托卵する“ずるい”昆虫もいるし,卵の間は自分が面倒を見て,孵化するとアリに子供を守らせるという昆虫もいる。
 しかし,なぜこんな面倒なことをするのだろう。子守をすると,餌をとりにいけないので,次の子供を産むための栄養をとることができない。雄ならば,子守をするより他の雌と交尾した方が,子孫を多く残せるというものだ。
 それでも子育てをするのはそれなりの理由があるのだ。

著者

Douglas W. Tallamy

節足動物における母親と父親の世話の進化について研究している。同時に,昆虫と植物との化学的な相互作用についても研究している。1980年にメリーランド大学から昆虫学の博士号を得た後,アイオワ大学でポスドク共同研究員を務め,現在はデラウェア大学の教授である。彼の研究の多くは,自宅の裏庭で行動の観察ができるガルガフィア属のグンバイムシの一種に関するものである。

原題名

Child Care among the Insects(SCIENTIFIC AMERICAN January 1999)

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