日経サイエンス  1997年10月号

レーザーで雷撃制御

J-C.ディールズ R. バーンスタイン K. E. スタールコプフ X. M. チャオ

 米国では毎年約2000万発の雷が落ち,数百人が死亡,森林火災を含む多くの物的被害ももたらしている。こうした大きな被害をもたらす落雷を,レーザーを使って制御しようという“ハイテク避雷針”の研究が進んでいる。

 現在使われている避雷針を最初に提案したのは,凧による落雷実験で有名なフランクリン。1752年の実験のすぐ後に,しっかりと接地した避雷針を建物の上に設置すれば雷によって生じる最悪の事態はかなり避けられると提案した。

 フランクリンは最初,とがった避雷針が「落雷の前に電荷をコロナ放電によって雷雲から静かに引き出す」と考えていたが,後には避雷針は放電路を作る,もしくは雷の落ちる道筋を変えるものであることに気がついた。

 レーザーを使ったハイテク避雷針の基本原理も同じこと。レーザーで大気を電離して導電性の通り道を大気中に作ることで雷を誘導しようというものだ。著者らは紫外レーザーと可視光レーザーを組み合わせて,効率よくこうした通り道を大気中に作る方法を開発した。

 この方法による実際の雷の誘起はまだ試みてはいないが,理論計算と数値シミュレーション,実験室レベルの小規模実験の結果はよく一致しているとしており,著者らは近い将来,レーザーで落雷を自由に制御できるようになるとみている。(本文から)

著者

Jean-Claud Diels / Ralph Bernstein / Karl E. Stahlkopf / Xin Miao Zhao