日経サイエンス 2001年5月号

特集;しのび寄る水資源危機

2001年3月24日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

1,333円+税

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  • セブンアンドワイ

編集部から一言

特集は「しのび寄る水資源危機」。仮に懸念されるような温暖化がないとしても,世界人口の増加にともない,水不足は深刻になります。水の豊かな日本にいるとピンとこないかもしれませんが,食料を輸入に頼っていることを考えると,他人事ではありません。論文では,日本からのオリジナルを含め,量子の話題を2つ。まずは,量子の世界を直接のぞくホログラフィー電子顕微鏡の話題です。著者は日本が世界に誇る外村彰先生です。もう1つは量子力学100年の歴史を振り返りながら,常識とは異なる世界といまだに解けない謎を紹介します。
生物系がお好きな方には「Y染色体の不思議な進化を探る」がおすすめです。驚くほど,ダイナミックに進化してきたのです!
そのほか,セールストークの科学,古代のエメラルドの話題があります。

特集:しのび寄る水資源危機

水資源の確保が地球規模の新たな課題として急浮上してきた。人口爆発に伴って水の需要も急増し,2025年には世界人口の約4割が飲み水や農業用水などの不足に直面すると予想されている。世界各地で水利権をめぐる紛争が広がる恐れがあり,食糧の多くを輸入に頼っている日本にとっても対岸の火事ではない。しのび寄る水危機を回避する方策はあるのか。

 

世界規模で崩れる需給バランス  P. H. グレイク

 

節水と食糧増産の両立は可能か  S. ポステル

 

持続的利用への処方箋  D. マーティンデール/P. H. グレイク

 

水資源保全と日本の役割  久保田啓介(編集部)

 

 

電子顕微鏡で量子の世界を見る  外村彰

量子力学では常識を超えるような現象が数多く予想されている。最近,ホログラフィー電子顕微鏡と呼ぶ巨大な顕微鏡で,量子の世界を直接観察できるようになってきた。超電導のメカニズムの解明などにも成果が期待されている。

 

量子力学100年の謎  M. テグマーク/J. A. ウィーラー

量子力学が誕生して100年になるが,華々しい成功の陰で,いまだに解き明かされていない謎がある。量子力学の意味については議論が続いており,量子コンピューター,意識,多世界理論など最新の話題が登場する。

 

Y染色体の不思議な進化を探る  K. ジェガリアン/B. T. ラーン

男性だけが持つY染色体は,ペアとなるX染色体にくらべてあまりに小さい。もとはX染色体にそっくりだったが,数段階を経て現在のような姿になり,Y染色体の変化を補う形でX染色体も変化してきたことがわかった。

 

巧みなセールストークを科学する  R. B. チャルディーニ

相手の言葉にのせられて,ほしくもないものを買わされるはめになったことはないだろうか。どんな心理的圧力をかけると,人に「イエス」と言わせてしまうのかを分析する。

 

エメラルドが古代にたどった道  G. ジュリアニ/M. ショスィドン/M. ウゼ

美しい緑色の宝石として,ローマ時代から珍重されてきたエメラルド。古くからの宝飾品であるエメラルドの酸素同位体比を分析して,謎に包まれていた古代の産地や交易ルートを特定することができた。

 

 

 

世界の研究室から

 極低温のホットな研究  二国徹郎(トロント大学ポスドク研究員)

サイエンス考古学

ウイルス/受け入れられた電子の粒子説/リンガ・フランカ/岩窟住居/水晶宮,待望のオープン/硬質ゴム/フーコーの振り子

TOPICS

超電導物質に新たな系譜/脳と音楽の関係/皮膚ガンに画期的な予防薬登場か/微小チップを基板に“注いで”配列/かゆみの感覚を左右するニューロン/チップ上で原子を捕捉・移動/巨大隕石の衝突が火山活動の引き金に/ずさんな飼料管理/ボストーク湖探査計画が苦境に/「スコッチガード」,生産中止に

地球塩の旅

 炭酸ナトリウムの赤い湖  文・写真 片平孝

錯視のデザイン学

 止まったものが動いて見える不思議  北岡明佳

右の世界,左の世界

 オーロラが見せる対称性  黒田玲子×佐藤夏雄(国立極地研究所教授)

WAVE

 三宅島の自然の現状と将来/小型化・高性能化する“電子の鼻”/

 コンテンツ保護と企業の利益,どちらを優先させるのか/庶民に近づく女王,庶民のふりをする大統領

数学レクリエーション

 多角形にプライバシーを  I. スチュアート

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