日経サイエンス 1997年12月号

偽りの記憶をつくる──あなたの思い出は本物か

1997年10月25日 A4変型判 27.6cm×20.6cm

1,333円+税

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  • セブンアンドワイ

編集部から一言

プルジナーがノーベル賞をとりましたね。本当に嬉しいです。日経サイエンスでは,受賞を記念して1995年3月号に掲載したプルジナーの論文を再掲載します。
担当者Tが選ぶ今月のイチ押しは,他人にありもしない記憶を植え付けることができるという話。子どものころの思い出など,本当は事実と違って覚えているかもしれませんよ。この論文を読むと,容疑者の自白や目撃者の証言が当てにならないこともよくわかります。
そうそう,12月号には,1月号から12月号までの総目次があります。これ,便利ですよ。

偽りの記憶をつくる──あなたの思い出は本物か  E. F. ロフタス

他人から,こんなことがあったよね,と言われると,いつのまにか本当にそういうことがあったという“記憶”ができてしまうのです。かなり,怖い話ですよ。

 

世界最大の放射光施設SPring-8  中島林彦

放射光は,遠い宇宙の電波銀河やパルサーが放つ強力な輝きのこと。これを地上で実現した施設が西播磨にできました。基礎科学だけでなく医療面にも役立つと期待されています。

 

トップクォーク発見ヘの道  T. M. リス/P. L. ティプトン

存在が予言されながら見つからなかったトップクォーク。この発見には,同じ実験施設に属する2つのグループ間の熾烈ながらもフェアな闘いがありました。両グループがほぼ同時に発表した論文の1ページ目の写真は一見の価値があります。なにせ,著者が1000人を超えているのですから!

 

細胞に人工のドアを作る  H. ベイレー

細胞膜には,門番役の膜タンパク質があります。相手によってドアを開けて,通したり,ドアを閉めたりします。こうした門番を作れれば,薬物送達システムにも役立つし,高感度のセンサーにもなります。この研究,結構いいところまで進んでいるんですよ。

 

1997年ノーベル生理学医学賞受賞記念

プリオンはどこまで解明されたか  S. B. プルジナー

 

世界の人口を養う“窒素”の光と影  V. スミル

現在の世界人口を支えているのは,合成窒素肥料だといっても過言ではありません。けれども,膨大な量の窒素を環境に放出しているわけでもあります。二酸化炭素ばかりが注目されていますが,窒素も深刻なんですよ。

 

アステカ帝国繁栄の秘密  M. E. スミス

13世紀から16世紀にかけて中央アメリカに巨大な帝国を築いたアステカ。黄金の話ばかりが出てきますが,一般市民はどういう生活をしていたのでしょう。平民には重税がかけられていましたが,中央の統制から切り離された地方生活は豊かだったようです。

 

水面を走るトカゲ  J. W. グラシーン/T. A. マクマホン

中央アメリカに生息するバシリスクというトカゲは,水面を疾走できます。と言っても,驚いたりしたときだけですが。水面疾走の秘密が解明できたわけですが,この研究のために走らされたりしていないのかなぁ。

 

世界の研究室から

 緑の道がつづくニューヨーク  中西香爾(コロンビア大学教授)

空 模様

  波状雲  文・平沼洋司/写真・武田康男

TOPICS

ネアンデルタール人が奏でた“フルート”/火星に地下「水」はない?/プリオン発見にノーベル賞/星の墓場,実は“ゆりかご”/長期ホルモン補充療法は安全か/月と小惑星で一獲千金/本番迎える臓器移植/理科実験の楽しさとコツを紹介/マイクロマシンで超小型無線機/心の病を起こす海外出張/第1回久保亮五記念賞/ドアのノブからDNA/皮膚細胞でもクローン羊

博物館の宝物

 リンネ『自然の体系』初版本  千葉県立中央博物館

脳の見方,モノの見方 8

 自我はどのようにして生まれたか  養老孟司×澤口俊之(北海道大学助教授)

WAVE

 キシリトール耐性虫歯菌が虫歯を防ぐ/青色レーザー開発で日本に追いつけない米国のいらだち/

 世界の鳥類の11%が絶滅の危機に/自然の傑作,哺乳類のペニス

数学レクリエーション

 帝国と電子工学の親密な関係  I. スチュアート

ブックレビュー

 『ヘリコバクター・ピロリ菌』

 『サイエンス・パラダイムの潮流』 ほか

Letter & Opinion

 臓器移植法について/飛び入学議論の盲点

日経サイエンス1997年総目次

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