日経サイエンス  2011年9月号

法廷に立つ脳科学

M.S. ガザニガ(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)

 科学技術の進歩を受け,裁判で採用される証拠の幅が広がってきた。血液のDNA解析データや声紋の鑑定結果などがよく知られる。脳科学も近年急速に進歩し,脳画像解析から,その人の精神状態などをある程度,読み取れるようになってきた。そこで裁判において,刑事事件の被告が嘘をついているかどうか,証人が信頼できる人物なのかどうかなどを示す証拠として脳画像が採用される可能性が出てきた。ただ,裁判の判決は,ときに人の一生を左右するほどの重みがあり,それに耐える信頼性を持つほど現在の脳科学は進歩してはいないというのが大方の見方だ。もっとも将来的には,脳科学は裁判のあり方に大きな影響を及ぼすようになるだろう。

 

 

再録:別冊日経サイエンス184「成功と失敗の脳科学」

著者

Michael S. Gazzaniga

SCIENTIFIC AMERICANの編集顧問のひとりで,カリフォルニア大学サンタバーバラ校のSAGE精神研究センター長。マッカーサー財団の法と神経科学プロジェクトの元責任者。

原題名

Neuroscience in the Courtroom(SCIENTIFIC AMERICAN April 2011)

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