日経サイエンス  2011年7月号

特集:揺れる原子力の将来

レベル7からの出発

中島林彦(編集部) 奈良林直(北海道大学)

 東日本大震災で起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故は,大量の放射性物質を環境中に放出し,深刻度の国際評価がチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7となった。5月中旬現在,放射性物質の放出は事故発生当初より格段に減少した。しかし,原子炉の温度が継続的に100℃未満,つまり常圧で水が蒸発して炉が空だきになる恐れがなくなる「冷温停止」の見通しはまだついていない。汚染された水や土壌の処理には長い年月を要し,廃炉のための作業は数十年に及ぶとみられる。そもそもなぜレベル7にまで至ったのか,こうした事態を再び起こさないためにはどんな対策を講じればよいか。今回の事故を振り返り,教訓として学ぶべきことを考える。

 

別冊日経サイエンス183「震災と原発」に,加筆修正し再録


協力:奈良林直(ならばやし・ただし)
北海道大学大学院工学研究院教授(エネルギー環境システム部門)。専門は原子炉工学と原子炉安全工学。日本原子力学会シニアネットワークのメンバーで「福島第1緊急対策“復興チームF”」の立ち上げに中心的役割を果たす。同チームは,事故を起こした原子炉の冷温停止早期実現の方策を提案,現在,その提案に沿って作業が進んでいる。

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