日経サイエンス  2011年2月号

見つかった! イトカワの微粒子

中島林彦(編集部) 土山 明(大阪大学)

 小惑星イトカワは海に浮かんで貝などを食べるラッコの姿に似ている。全長約540mの“イトカワ・ラッコ”は岩に覆われゴツゴツしているが,胸のあたりは滑らかで平坦。そこは砂利の砂漠でミューゼスの海(MUSES-C領域)と呼ばれる。探査機「はやぶさ」は,この砂利砂漠に2度着陸,サンプル採集を試みた。

 

 2010年6月,「はやぶさ」は7年間60億kmの旅の末に地球に帰還,サンプルを収納した容器は耐熱カプセルに守られて軟着陸した。収納容器内には微量の微粒子が認められ,現在,キュレーション作業(微粒子を容器から取り出し,仕分けて登録,分析のため研究機関に分配する仕事)が続いている。

 

 2010年11月,そうした微粒子のうち,1500粒がイトカワ由来であることが判明した。人類が月以外の天体表面から直接,手に入れた初めての物質で,太陽系の起源や進化の謎を解く重要な手がかりになる。イトカワの微粒子とはどんなもので,今後どんな分析を行い,どのような成果が期待できるのか紹介する。

協力:土山 明(つちやま・あきら)
大阪大学大学院理学研究科教授(宇宙地球科学専攻)。イトカワの微粒子の分析グループのリーダー。探査機スターダストが持ち帰ったヴィルト第2彗星の塵を分析した。専門は太陽系固体始原物質の探索と進化の研究,宇宙塵および太陽系小天体から持ち帰られたサンプルの研究など。

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