日経サイエンス  2006年10月号

光学技術に革命を起こすスーパーレンズ

J. B. ペンドリー D. R. スミス

40年前,ロシアの科学者ベセラゴ(Victor Veselago)は光学の世界を根底から覆す物質を考えついた。これまで知られている物質は,光の折れ曲がり具合はさまざまだが,屈折率はいずれも正の値をとる。ところがベセラゴは,これまで知られていない奇妙な光の折れ曲がり方を示す「負の屈折率を持つ物質」がどこかに埋もれていると考えた。

著者

John B. Pendry / David R. Smith

2人はメタマテリアルへの貢献で2005年のデカルト賞(国際共同研究による優れた成果に贈られる欧州連合の賞)を受賞した国際共同研究グループのメンバー。2000年から共同研究を続けており,ペンドリーは理論,スミスは実験を担当している。ペンドリーはロンドン大学インペリアルカレッジの物理学教授。量子摩擦やナノ構造間の熱輸送,熱伝導率の量子化などにまつわる電磁場現象の研究に取り組んでいる。スミスはデューク大学の電気・コンピューター工学教授。特異な性質を示す材料中での電磁波伝播を研究している。メタマテリアルと負の屈折率を持つ物質に関する新たな応用技術の開発のため,複数の企業と共同研究している。

原題名

The Quest for the Superlens(SCIENTIFIC AMERICAN July 2006)

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