日経サイエンス  2006年6月号

プラズマの波に乗れ 卓上加速器

C. ジョシ(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

 加速器は宇宙の深遠な謎を解くのに用いられている巨大な実験装置だ。荷電粒子を光速近くの猛スピードに加速して衝突させ,宇宙がビッグバンによって誕生した際の激動の状況を再現する。残念なことに,この宇宙創生の謎に肉薄しようとすればするほど,より強力な加速器が必要になり,膨大な費用がかかる。その基本設計は数十年前から相変わらずで,装置は非常にかさばる。

 

 しかし,近い将来,プラズマと呼ぶ物質の第4の状態(固体,液体,気体に次ぐ)を利用した新しい粒子加速の方法が,エネルギー1000億電子ボルト(100GeV)以上の強力な加速器を実現する有望なアプローチとして登場し,加速器のサイズとコストを劇的に削減するだろう。

 

 物理学の研究に使われる巨大な加速器だけではない。物質科学や構造生物学,核医学,核融合研究,食料の殺菌,放射性廃棄物の核種変換,ある種のガンの治療などには,やや小型の加速器が使われているが,それでも大きな研究室ほどのスペースを占める。これに対しプラズマ加速器は非常にコンパクトな“卓上型”で,同様のエネルギーの電子ビームを作り出せる。

著者

Chandrashekhar Joshi

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の電気工学の教授。同校の高周波エレクトロニクスセンターおよびネプチューン先進加速器研究施設を率いている。高度な粒子加速技術の先駆者であり,プラズマの非線形光学や高輝度レーザーと物質の相互作用,核融合や加速器,光源へのプラズマ科学の応用に貢献したことで知られる。旅行とハイキングを楽しむ。

原題名

Plasma Accelerators(SCIENTIFIC AMERICAN February 2006)

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