日経サイエンス  2006年1月号

新型インフルエンザ大流行に備える

W. W. ギブズ C. ソアレス(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 アジアに蔓延する鳥インフルエンザがロシアや欧州にも拡大している。また毒性の高いH5N1によって命を奪われた人は60人を超えた。現在のところ,感染者のほとんどは鳥からヒトへの感染とみられるが,高病原性鳥インフルエンザウイルスの遺伝子に変化が起こり,容易にヒトに感染するよう新型ウイルスに変貌する可能性もある。1918年に世界を襲ったスペイン風邪の場合も,鳥ウイルスの遺伝子変異が原因だったと考えられている。

 

 新型インフルエンザウイルスの世界的大流行(パンデミック)は30~40年周期で繰り返されてきた。新型ウイルスが出現した場合,世界人口の1/3が感染すると予測されている。世界保健機関(WHO)が公表するパンデミックサイクルは,現在フェーズ3(パンデミックアラート期の最初段階)にあり,いつパンデミックが発生してもおかしくないが,抑制可能な時期としている。新型インフルエンザの影響を最小限に食い止めるべく,世界は準備計画に向けて動き始めた。

 

 この記事では,新型ウイルス対策を進める米国の様子を,監視体制,発生時の対応策,ワクチン開発,治療の4項目についてレポートする。

原題名

Preparing for a pandemic(SCIENTIFIC AMERICAN November 2005)

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