日経サイエンス
日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFICAMERICAN」の日本版です。

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 迷惑メールを撃退する

イメージJ. グッドマン/
D. ヘッカーマン/
R. ラウンスウェイト

 
 1978年,世界初のスパムメール(迷惑メール)は,インターネットの先駆けだったアーパネットを通じておよそ400人に送られた。ディジタル・イクイップメント社のマーケティング部門が送ったもので,新型コンピューターDECsystem20の広告だった。
 望みもしない宣伝広告を送りつけてくる「ジャンクメール」は,いまやインターネット上を行き交うすべての電子メールの2/3を超え,毎日数十億通に上る。電子メールユーザーの1/3の人々にとって,受信メッセージの約80%がスパムメールだ。最近のスパムはより巧妙になり,信頼のおける人や公的な機関から送信されているかのように送信元を偽装し,クレジットカード番号や個人情報を盗もうとするいわゆる“フィッシングメール”が急増している。ガートナーリサーチの2004年の調査によると,フィッシングの被害は年間約12億ドルに上る。
 「スパム」を広く解釈した場合,その対象は電子メールに限らない。チャットルームには“ロボット”が潜み,人間のふりをしてポルノサイトへのリンクをクリックするように誘ってくる。インスタントメッセージ(IM)のユーザーはスパムのIM版ともいえる「スピム」に悩まされている。さらにブログも台無しにされることがある。“リンクスパマー”が紛らわしいリンクを追加し,ブログサイトやブログ内のリンクの利便性を損ね,インターネット検索エンジンの表示ランキングまでも無効にするのだ。
 息が詰まるようなスパム被害の現状を見ると,インターネット全体が破壊されないまでも悪影響を与えるのは明らかだ。ただし,スパム対策も進展を見せている。スパムを遮断し,スパマーの行為を阻止する技術が研究され,開発段階のものも多くある。
 この記事で述べる方法はジャンクメール対策に重点を置いているが,その多くは他の形態のスパムにも適用できる。どの方法も単独では完璧な解決策にはならないが,多くの人が複数の手法を組み合わせて利用すれば,驚くべき成功を収められるだろう。私たちのメールボックスからスパムが消える日が訪れるのもそう遠くはない。
 
キーワード:
機械学習/指紋認証/ナイーブベイズ法/線形識別モデル/N-gramモデル/画像認識/HIP(人的対話型認証)/認証システム/マイクロペイメント/送信者評判情報/CAN-SPAM法
著者  Joshua Goodman/
David Heckerman/
Robert Rounthwaite
3人は長年スパムの撃退方法を共同研究してきた。1997年,ヘッカーマンとラウンスウェイトは他の研究者とともに最初の機械学習スパムフィルターを作り上げた。ヘッカーマンはマイクロソフト・リサーチで機械学習・応用統計学(MLAS)グループを率いている。グッドマンとラウンスウェイトはマイクロソフトの製品チームを組織し,Exchange,Outlook,MSN,Hotmailのスパム対策技術を提供している。現在はラウンスウェイトがこのグループの主任設計者だ。グッドマンはMLASチームのメンバーとしてスパムと電子メール関連の研究を行っている。

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