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日経サイエンス 2004年8月号
> 時のはじまりはいつだったのか ビッグバン以前の宇宙
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時のはじまりはいつだったのか
ビッグバン以前の宇宙
G. ヴェネツィアーノ
宇宙はビッグバンによって始まり,その前には何も存在しなかった。時間というものも意味をなさなかった──現代の宇宙によると,宇宙誕生のシナリオはこんな風になっている。だが,本当にそうだろうか?ビッグバン以前には何があったのか?こんな素朴な疑問に答える,新たな宇宙論が浮上してきた。ビッグバンより前にも宇宙は存在し,宇宙の時計は果てしない過去から無限の未来まで,永遠の時を刻み続けているというのだ。
著者が描く宇宙の歴史は大胆だ。宇宙は最初,希薄なガスがただよう空間だったが,やがて一部が集まって塊となり,ブラックホールを形成。その中の密度が極限に達した時にビッグバンが起きて,宇宙が形成されたという。この説が正しければ,私たちが住むこの宇宙は,巨大なブラックホールの中にあることになる。
一方で,もう一つの候補であるエキピロティック宇宙論によれば,私たちの宇宙は,高次元時空に浮かぶ3次元の膜だ。この膜は平行して存在する別の膜に時々ぶつかっては離れていく。ぶつかった時にインフレーションが起きるという。これが正しい場合も,ビッグバン以前にも宇宙は存在していたことになる。
どの説が正しいか,観測によって決着づける方法はないのだろうか。真剣に模索が始まっている。
キーワード:
宇宙論/弦理論/エキピロティック理論/ブレーンワールド/プレ・ビッグバン説/宇宙背景放射
著者
Gabriele Veneziano
欧州合同原子核研究機構(CERN)に所属する理論物理学者。1960年代後半には弦理論の父と呼ばれ,その成果によって今年,米物理学会と米国物理協会からハイネマン賞を授与された。理論は当初の目的であった原子核について記述することには失敗し,自身も代わって登場した量子色力学に関心を移して,この分野に多大な貢献をした。1980年代に弦理論が重力理論として復活を遂げ,いち早くこれをブラックホールや宇宙論に適用した。
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