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日経サイエンス 2004年4月号
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世界が燃え尽きた日 大絶滅と復活のシナリオ
D. A. クリング/D. D. ダーダ
恐竜をはじめ多くの生物を滅ぼした6500万年前の小惑星衝突。想像を絶する地球規模の大火災が起き,生態系は壊滅的な打撃を受けた。その焼け跡から生命はどのように復活を果たしたのか?
現在のメキシコ,ユカタン半島付近に小惑星がぶつかった「チチュルブ衝突」は白亜紀から第三紀にかけての大量絶滅の原因として広く知られている。恐竜をはじめ,地球上の動植物種の75%以上が絶滅したとされる。この衝突が地球規模の大火災を引き起こしたことは,あまり知られていない。
高速で飛散した破片が大気圏に再突入して大気を熱したため,植物の大部分が燃え上がった。動物たちに逃げ場はなく,生態系は崩壊した。火災の煙と衝突で巻き上がった塵が空を覆って日光を遮ったため,光合成植物の大半が死に,海洋を含め地球規模で光合成が停止した。「核の冬」に似た状況だ。これが収まると,衝突と火災によって放出された二酸化炭素など大量の温暖化ガスの影響で,一転して温暖期がやってきた。
ただし,火災の影響には地域差があった。例えば衝突地点のはるか北では多くの生物が生き延びた。焼け残った生息地から,生命は再び地球に広がっていった。
キーワード:
温室効果/ピロトキシン/オゾン層/シダ類/メタン酸化細菌/風媒植物/生態的地位
著者
David A. Kring/Daniel D. Durda
2人はアリゾナ大学で出会った。当時,クリングはチチュルブ・クレーターが天体衝突の痕跡であって白亜紀から第三紀にかけての生物大絶滅と関連していることを示した研究チームに加わっていた。一方のダーダは小惑星どうしの衝突による小惑星の動的進化を研究していた。2人はそれぞれの専門知識を持ち寄り,地球に小惑星が衝突した後に起きたと考えられる一連の現象を明らかにした。クリングは現在もアリゾナ大学に所属し,およそ20の衝突事例に関して,それらが環境に与えた影響を研究している。最もよく足を運ぶのはアリゾナ州のバリンジャー隕石孔。世界で最も保存状態のよい隕石衝突地点だ。ダーダは現在,コロラド州ボールダーにあるサウスウエスト研究所に在籍。高性能ジェット機を利用した天文観測を続けている。F/A-18ホーネットをはじめ10種以上の飛行機を操縦した経験を持つ。天文アーティストとしても広く知られている。
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