日経サイエンス  2003年11月号

特集2:ナノマシンを創る

編集部

 多くの原子を1つずつ正確に配列した細胞よりも小さいマシンが,自らの複製を含めてあらゆるものを作り出す。このナノのマシンが実現できれば,周りにある材料からあらゆるものが低コストで作れるようになる。
 1986年に出版されナノテクノロジーの概念を世界中に広めた『創造する機械』(日本語版はパーソナルメディアが出版)。著者のドレクスラー(K.Eric Drexler)は「アセンブラー」と呼ぶナノマシンの概念を提唱し,未来の姿を描き出した。
 その世界は荒唐無稽に思えるが,原子や分子を自在に操り,さらに化学反応や物質合成を原子・分子のレベルで精度よく行うという夢に向けて,多くの科学者は研究している。従来技術では考えられないような複雑で精密な微細構造体が作れるようになった。
 今回の特集では,ナノマシンを実現するうえで不可欠な微細構造や機能性分子を作る基盤技術となる自己組織化の最先端に迫る。『自ら組み上がる“分子の機械”』では,部品となる分子を混ぜておくと熱や圧力を加えなくても自然と複雑な構造に組み上がる技術を報告。『生体超分子で実現する未来の電子素子』では,生体分子マシンを使った微細構造作りとその応用についてリポートする。