日経サイエンス  2003年8月号

SARSが残した本当の脅威

西村尚子(サイエンスライター)

 世界各地で猛威を振るい多くの死者を出したSARSの流行も,ようやく終息に向かいつつある。しかし,その脅威は本当に去ったのだろうか。残された本当の脅威とは何なのだろう。

 

 事の発端は2002年11月。「中国広東省で奇妙な肺炎の集団感染が起きている」との未確認情報が世界保健機関(WHO)にはいったことから始まった。それから世界中で報告が相次ぎ,その原因が新型コロナウイルスだと断定され,ウイルスのゲノム解読まで終えるのに半年とかからなかった。

 

 しかし,SARSウイルスをめぐる謎はゲノムが解読されてもまだ未解明なままだ。通常なら鼻風邪程度しか引き起こさないコロナウイルスがなぜこれほどまでに凶悪化したのか,新型ウイルスはどこからやって来たのか,ワクチンはいつになったらできるのか――など。また,一般に低温・乾燥環境を好むとされるコロナウイルスはこの冬再流行するのではないか。インフルエンザとの同時流行が起きたらどうするのか。専門家はこれら数々の問題をどうみているのだろうか。

著者

西村尚子(にしむら・なおこ)

1967年生まれ、神奈川県出身。1991年早稲田大学人間科学部卒業。専攻は細胞生物学。卒業後約10年にわたって科学雑誌の編集に携わった後,フリーランスのサイエンスライターとして雑誌や書籍で活躍。主に生命科学分野の仕事を得意とする。

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