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日経サイエンス 2003年7月号
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ついに解けた太陽ニュートリノの謎
A. B. マクドナルド/J. R. クライン/D. L. ウォーク
太陽の内部では核融合によって大量のニュートリノが作られる。しかし地球で観測される数は理論に基づいて予測した量より大幅に少ない。研究者を30年以上も悩ませてきた「太陽ニュートリノ問題」に,ついに決着がついた。カナダのサドベリーニュートリノ観測所(SNO)の共同研究グループが太陽ニュートリノが別のタイプに変身している証拠をつかんだ。
ニュートリノには,電子・ミュー・タウの3種類がある。太陽内部では電子ニュートリノが大量にできる。ニュートリノは物質とほとんど相互作用しないため,地球にそのまま降り注いでくる。ところが,1960年代以降行われたさまざまな実験で測定された値は太陽モデルに基づいた予測値の1/3〜3/5しかなかった。
太陽モデルが間違っているのか,それとも誤差や精度など観測技術の問題なのか。長い間議論になってきた。しかし,ニュートリノ振動によって別の種類に変身している説が支持されるようになった。SNOは重水の中で発生するチェレンコフ光を観測して統計処理した結果,太陽ニュートリノが振動を起こしている証拠をつかんだ。さらに,日本のカムランドが行った反電子ニュートリノの観測によって確証が得られた。
すでに,日本のスーパーカミオカンデが大気上層で発生する大気ニュートリノの観測でニュートリノ振動が起きていることをつかんでいる。標準理論の予言と異なり,ニュートリノには質量があることが確実になった。スーパーカミオカンデやSNOの観測結果に基づいて,標準理論を見直す必要がある。さらに,ニュートリノ観測実験は将来,なぜ宇宙は反物質ではなく物質で構成されているのかという理由も解明できるかもしれない。
キーワード:
太陽ニュートリノ問題/ニュートリノ振動/重陽子崩壊反応/ニュートリノ吸収反応/電子の散乱/標準理論
著者
Arthur B. McDonald/Joshua R. Klein/David L. Wark
3人は130人が参加しているサドベリー・ニュートリノ観測所(SNO)の共同研究グループに所属している。マクドナルドは1989年の発足時からSNOの所長を務めており,カナダのオンタリオ州キングストンにあるクイーンズ大学の物理学の教授でもある。クラインは1994年にプリンストン大学で博士号を得た後,ペンシルベニア大学でSNOの研究を始めた。テキサス大学オースティン校の物理学の助教授を務める。ウォークはこの13年間を英国で過ごし,オックスフォード大学やサセックス大学,ラザフォードアップルトン研究所に在籍した。SNO以外にも多くのニュートリノ実験に携わった。
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