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日経サイエンス 2002年9月号
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スピントロニクス 電子技術を飛躍させる新戦略
D. D. オーシャロム/M. E. フラッテ/N. サマース
電子が持つ「スピン」という性質を利用すると,従来の限界を打ち破るような高性能のトランジスタやメモリーができる。量子コンピューターの実現にもつながりそうだ。
量子の世界で現れる特異性に,電子のスピンがある。スピンに基づいて機能を発揮する素子を実現しようというのが,スピントロニクス(スピン・エレクトロニクス)の考え方だ。ハードディスクの磁気ヘッドに利用されている巨大磁気抵抗(GMR)効果もスピントロニクスの1つだが,DRAMに代わる不揮発性のMRAM(磁気ランダムアクセスメモリー)や機能を自由に切り替えられる論理素子など,新しいデバイスへの期待が高まっている。
その基本となるのが,磁気トンネル接合やスピントランジスタなどの基本素子。これを実現するための素材として磁性半導体などの開発が進み,半導体の中にスピンのそろった電流をいかにうまく注入するかがポイントとなっている。
電子のスピンはそれ自体が量子ビット(キュービット)となっている。この性質を利用すると大規模な量子コンピューターが実現できそうだ。スピンは電気的なキュービットに比べると安定しているからだ。あらゆる研究の最前線でスピントロニクス革命が進んでおり,量子の世界ならではの新しい技術を生み出し続けるに違いない。
キーワード:
ボース・アインシュタイン凝縮,スピンバルブ,トンネル効果,ゲート電圧,制御型強磁性体,量子コヒーレンス,n型半導体
著者
David D. Awschalom /Michael E. Flatt
/Nitin Samarth
3人はフラッテがサバティカルでカリフォルニア大学サンタバーバラ校に滞在していた際に共同研究を始めた。当時,オーシャロムとサマースはすでに10年以上にわたって半導体スピントロニクスの実験で協力していた。オーシャロムは同校の物理学の教授で,スピントロニクス量子計算センターの所長を兼務。フラッテはアイオワ大学助教授で,凝縮系の理論を研究している。サマースはペンシルベニア州立大学の物理学の教授。
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