日経サイエンス  2001年5月号

特集:しのび寄る水資源危機

水資源保全と日本の役割

久保田啓介(編集部)

 世界各地で表面化している水資源の危機は日本にとって対岸の火事ではない。西日本など一部地域では渇水に頻繁に見舞われている。また日本は農産物や木材,繊維製品の世界有数の輸入国で,これらの生産に必要な水を間接的に大量に消費しているからだ。

 

 農産物だけみても,日本は小麦や大麦,豆類の9割以上,果物の約半分を海外から輸入している。国内の研究者の試算によると,これらの輸入農作物を生産するのに毎年およそ52億m3の水を消費している。仮にこの水を国内で使ったとすると,およそ3000万人分の生活用水に匹敵する

 

 日本は水資源保全に関して優れた技術をもっている。「これらを利用して途上国を支援するなど,積極的な水資源外交を展開すべき」との声が広がってきた。