日経サイエンス  2001年5月号

エメラルドが古代にたどった道

G.ジュリアニ M. ショスィドン (ともに仏石油・地球化学研究センター) M. ウゼ(宝石学者)

 現在,エメラルドの産地といえば,コロンビアが有名だ。コロンビア産の石は透明度が高く,色も美しい。しかし,コロンビアがエメラルドの主要な産地として交易に登場するのは,スペインが南米に上陸した16世紀以降のことで,それ以前の産地はヨーロッパやエジプト,現在のアフガニスタンなどだった。

 

 だが,エメラルドの産地や交易ルートには謎が多い。古い書物に記されたエメラルドの産地がどこを指しているのか判然としなかったり,貴重な宝飾品として保存されてきた有名なエメラルドの産地がわからない例も多い。著者らは,これらの謎を解くために,結晶中の酸素同位体を分析し,エメラルドの産地を特定する作業に取り組んできた。

 

 こうした研究から,古くから伝えられてきた説の誤りが修正され,エメラルドがたどってきた道の正確な年代記を確立できるようになった。

 

 

再録:別冊日経サイエンス210「古代文明の輝き」

著者

Gaston Giuliani / Marc Chaussidon / Michele Hueze

 ジュリアニとショスィドンは,ナンシー市郊外のヴアンドーヴルにある石油・地球化学研究センターの地質学者。ウゼは宝石学者で宝飾品の歴史家でもあり,パリ応用美術実習センター(ASAP)で教えている。

原題名

La route des émeraudes anciennes(POUR LA SCIENCE Novembre 2000)